議会だより

2月25日(木)2月議会個人質問

◆◇◆4年間の締めくくり議会のご報告◇◆◇

 私は、この1期4年間、毎議会の個人質問でいつも初日に登壇をさせていただき、市民のみなさまのための「行政」へと微力ながら改善提案を積み重ねてきました。
 今回は、その中から、なかなか改善がみられない課題をピックアップしました。
 また、市民のみなさまと共々に、これからの岡山市を作り上げていくために、情報公開・情報提供という視点を一方の切り口としながら、行政のあり方を問い直しました。



【1】行財政改革と情報公開について

1.総人件費の考え方、示し方

 民間と違い、役所の人件費には短期(1年未満)の臨時職員の賃金は含まれません。また民営化や民間委託を推進すると、コストは別の費目になります。
 例えば、平成21年度の指定管理料に含まれる人件費相当額はざっと見積もっても10億円くらいはあります。
 そこで、実態として、「人」にいくらのコストをかけているのかを明らかにし、市民に開示するとともに、行政改革のモノサシをして新たな指標を導入するよう提案しました。

→ 指標として研究するとの答弁でした。

2.指定管理者制度の透明性

 まず選定者については、委員全員が本市職員であり密室性が高くなっています。また、各項目の配点や選考・審査の過程がブラックボックスになっていて、透明性が低いのが現状です。
そこで、外部委員の導入、細かい審査項目と配点の開示や審査結果のフィードバックを求めました。

→ 一定の情報公開については前向きな答弁がありましたが、全面公開ということではありませんでした。また選定者については後ろ向きなままでした。

【2】公共施設、公有地等の経営手法と情報公開について

1.公共施設のマネジメントと情報公開

 全国自治体の公共施設は、平成32年頃までに「一斉建て替え時代」を迎えることが予想されており、本市も例外ではありません。しかしながら、具体的な調査も計画も未着手のままです。
 本市が、今後、公共施設を廃止も含め、どのように配置しようとしているのか。メンテナンスは先送りされないできちんとおこなわれるのか。財源はどの程度必要なのか。公共施設は市民の財産ですから、こうした情報が市民に開かれるべきです。

→ 答弁では、研究が不十分とのことでしたが、私は、問題の本質は、タテ割りの運営にあると考えています。

つまり全体を統括する部署がないのです。もともと20年度にできた財産管理課がやるよう舵を切るべきでした。当時、役割についてネーミングも含め、私は局長と議会でやり取りさせていただきましたが、結局手が付いていないままなのです。タテ割りを越えて課題を引き受ける部署を、早急に、この4月の編成で、指名するなり、新設するよう求めましたが、プロジェクトで研究するという発言に止まりました。

2.公有地における時価会計の検討と資産評価の公開

 市や公社が保有する未利用地は購入後、多くは資産価値が低下しています。
きちんと実態を把握すること、そして市民に知らせること。この2つのプロセスをやらないと、行政は、自前主義、つまり資産を多く抱える非効率的な行政経営から脱却できないと私は思っています。
 財政支出に占める施設の維持管理経費が自治体の財政を圧迫する要因になっていることを明白にすべきです。
 まず一度、未利用地を時価でみると、簿価といくら乖離が生じているのかを市民と議会に公表するよう求めました。

→ そもそも把握していないので答えられないとの答弁でしたので、公開の意思があるのかどうかを再度質しましたが、公開するつもりはない模様です。

3.公共的建築物への木材の利用促進

 「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が、昨年10月1日より施行されました。 この法律は、低迷する日本の木材自給率を高めるため、公共建築物を足掛かりとして民間の建築物まで木材利用を広げることを狙いとしています。
 これを受けて岡山県は、低層の公共的建築物は原則木造化等の方針案をまとめました。公共的とは、民間の病院や老人ホーム、保育所などを指します。また、本市にとっては、森を守ることは海と漁業を守ることでもあります。

→ 本市としても公共的施設についての木造化方針を策定すべきだと申し上げましたが、前向きな方向性は示されませんでした。

4.市有財産活用における自動販売機設置公募のあり方

 自販機の入札改革によって、歳入が増えた自治体が次第に増えてきました。
私も平成20年6月と9月議会で取り組みを求め、今、順次募集が行われています。今回は、単純入札による弊害が起きている自治体もあることから、単なる物品納入の入札とは相容れないことを指摘しました。また、地域内経済循環の視点も考慮の余地がありますので一定の改善を求めました。

→ 紹介した具体的な事例等について検討していただきます。

【3】予防医療の充実と情報提供について

1.大人用肺炎球菌ワクチン

 肺炎は死亡原因の第四位。年間約10万人が肺炎で死亡しており、その約95%は65才以上の高齢者です。高齢者の肺炎予防に効果の高い「大人用肺炎球菌ワクチン」についての公費助成を実施する市区町村は、394と増加しており、岡山県でも半数以上の15自治体が行っております。
 WHOの報告にもあるように、効果が明らかなワクチンに関しては、安定供給と自己負担の軽減を行うのが行政の果たすべき役割です。
予防接種によって発症や重症化が防げる疾患は、最終的に医療費総額も減少します。また、ハイリスク者への助成についても推進を要望しました。

→ 行政内部での検討は続いてはいるようですが、YESという答弁はでませんでした。しかし倉敷市が新年度からの助成を検討していると報じられており、もう「ひと押し」のところまできました。

2.中学生へのがん教育

 子宮頚がんワクチン接種の無料化が始まりましたが、十分な周知がなされていないようです。
 私は2年前の2月議会で「がん検診を受けなさいと啓発しても効果は上がりません」、「がんがどういう病気であるかを知ること伝えることが大切です」との、東大の中川恵一准教授の話を紹介しましたが、やはり、がんの予防や検診がなぜ必要なのかという理解に主眼を置いた発信や教育へと舵を切る必要があると、あらためて申し上げました。
 この度、中川先生監修による中学生向け教材(DVD)が、3月上旬に完成予定とうかがいました。
 「公益財団法人日本対がん協会」のなかに設けられた「がん教育基金」で制作し、希望の中学校に「無償配布」する予定とのことです。サンプル調査では、中学生にも大変好評なようです。

→ 生徒たちに分かりやすく関心を持たせる教材として、検討していただきます。

【4】発達障がい支援について

 わが国では、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導を受けている児童生徒は約2%です。米国の約10%、英国の約20%に比べ、かなり低いことから、本来、教育支援を必要とする子どもたちが通常の学級で学んでいる可能性が高いといえます。
 そこで本市の現状を調べてみますと、22年度に小中学校の通常学級に在籍する発達障がいのある児童・生徒数は、5年前よりも3~4倍と大幅に増加し1599人です。これに対して、特別支援学級では概ね2倍程度の伸びとなっており1265人です。
 そこで、以下4点について対策を求めました。

(1)発達障がいの早期発見や保護者の理解促進
(2)特別支援学級を要望に応じて新設するのではなく、原則設置へと転換
(3)教師の専門性や対応能力の向上
(4)卒業後の就労・自立・社会参加

 発達障がいへの対応は、教育も雇用も施設も対症療法では限界というか、実質パンクしています。しかもこれからも増えるのです。仕組みを変え、一人一人を支援してあげないと、親も子も行政も教育ももちません。

→ 教師の支援については、事例集を作成中とのこと、また就労支援については事業者へのヒアリングと課題把握を進めていただきます。


担当:竹之内則夫 2011年2月25日

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2月22日(火)2月議会代表質問

◆23年度予算編成方針 《予算編成の特徴は。》

 平成23年度予算は、高齢者向けの地域優良賃貸住宅制度のほか、自転車先進都市おかやま事業、コールセンター等立地促進の補助制度創設など、今後の発展に向けた事業を盛り込んでいる。
 また、岡山操車場跡地整備基本計画の策定など、まちづくりの姿を具体化する事業や、岡山の未来を若者たちが語る「若者広場(仮称)」の実施など、将来を見据え、総合的な視点からつくり上げている。



◆視覚障がい者に対する広報 《点字等による広報の希望者数は。視覚障がい者へ積極的な広報をすべきでは。》

 平成23年2月1日時点で、点字広報希望者は86人、音声広報のCD版が31人、カセットテープ版が50人である。これまでも点字や音声広報については、「くらしの便利帳」や「障害者のしおり」などでお知らせしている。今後も「市民のひろばおかやま」などを通じて、積極的にPRし、周知を図っていく。

◆高齢者の介護施設を整備 《介護施設の整備方針は。》

特別養護老人ホームの入所待機者の現状から、平成23年度は9施設を整備し、21年度から23年度で、特別養護老人ホーム、グループホーム、老人保健施設など計777床の整備を行うこととしている。給付と負担のバランスを考慮し、より多くの方が入所できるよう検討したい。

◆旧深柢小学校跡地活用の考え方 《平成18年2月、岡山中央南(旧深柢)小学校跡地活用懇談会による提言の3つの柱(1)地域特性 (2)安全・安心 (3)地域コミュニティー、に沿って進めるべきだが、市と川崎学園の考え方は。》

 市としては、(1)交通利便性を生かし、表町商店街などのにぎわい回復につなげることが必要 (2)健康・医療・福祉機能の導入、防災上の観点での配慮、交通弱者にやさしいまちづくり、ユニバーサルデザイン導入が必要 (3)地域の人々が集い、交流できる場が必要、などと考えている。
 川崎学園は、(1) 1 日約4,000人の出入りを想定しており、にぎわい創出や経済波及効果に期待 (2)年中無休、昼夜診療で救急患者を積極的に受け入れ、質の高い医療や迅速な初期医療の提供 (3)敷地内に地域住民が利用可能な集会施設を併設する、などとしている。
 市と川崎学園の考え方に、大きな隔たりはないと考える。

◆東区役所・東消防署等の整備 《整備が進むことは歓迎するが、なぜ、このタイミングか。》

 老朽化や耐震性、消防力の強化のため、建て替えが急がれていた東消防署の検討を進めながら、同様にバリアフリー等多くの問題を抱えている東区役所についても関係部局間で議論を進めた。
 その結果、地元が望むカネボウ跡地活用につながり、防災拠点として一体的に整備することで一層の体制強化が図られる。合築によるスケールメリットや建設コストの低減、有利な財源の活用等、効率性や財政的な優位性から整備方針を決定した。__


担当:藤井義人 2011年2月22日

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11月4日(木)「にっぽん芝生化大作戦in鳥取」視察報告

 11月3日、昨年5月に続いて鳥取市を訪問しました。目的はもちろん「芝生」です。

 午前は、TVカメラを回しながら帯同されていた日本海テレビの福浜キャスターやグリーンスポーツ鳥取の中野理事からもお話を聞かせていただきながら現地視察をさせていただきました。
 もちろんニール・スミスさんが説明をしてくださるのですが、八千代橋付近の河川敷の視察でニールさんが激怒。国土交通省が管理している河川敷へのチェーンを外すカギが、開かないのです。「先週までは開いた。今日の視察に対する嫌がらせだ」
顛末を聞くと、国交省管理の河川敷は、年2回の草刈り予算があり、概ね30円/m2。ところが事業仕分けで予算が1割カットになったので、国交省は法面はやるけれども平地の草刈りを止めにした。

 一方、このうちニールさんが平地部20000m2を月に2回草刈りしているのですが、シルバー人材センターに委託して15円/m2で済む。
 どうしてか。年2回だと、かなり伸びるので人の手で刈る、運ぶ、処理する。しかし月2回だと、乗用カートでさっと片付く。
 つまり、工夫すれば、減らされた予算よりも安く手入れできるのに、役所はやらない。しかも実際にできているので嫌がらせまでする。
 こんな構図だそうです。

 さて、芝生化校のひとつ美保小学校。校長の熱意で実現したとのこと。
 ここでは多いときは200人以上(児童数615人)が裸足で遊んでいるそうで、岡山市でも、子どもの遊び環境は大事だ、と述べながら具体策はというと持ち合わせていない、じゃあ芝生化はというと、あれこれできない理屈を並べる、こんな繰り返しですが、環境さえ整備すれば結果はついてくる、そう感じました。

 午後からコカコーラウエストスポーツパークで開催された芝生化シンポジウム 「すべての子どもたちに芝生のグラウンドを」と題した、日本サッカー協会・川淵キャプテンと鳥取県・平井知事の対談で、
川淵キャプテン:「今の時代は、意識的に、『子どもたちにどう外遊びをさせるか』を
          考えないといけない時代だ。
平井知事:「学校では体を動かすということを、意識的につくらないといけない。」
お二人とも、「意識的に」とおっしゃいました。
 子どもの体力の低下、心身の発育という課題対応が成果を挙げられないまま、さらに悪化している状況にあって、今の施策の延長線上ではない具体策が必要だというメッセージが「意識的に」という表現になったのでしょう。
 また、川淵キャプテンが、「20年前、『すべての子どもたちに芝生のグラウンドを』」言っても誰も相手にしてくれなかった。それは1校の芝生化には数千万円の財源が必要で、しかも結局そのほとんどが維持できなくて枯らせてしまったからだが、しかし、安価な鳥取方式ができたから全国的にも一挙に広がり始めた」と評価を口にされると、平井知事は、コスト面で手の届く芝生化を可能にした点について「身の丈経営の芝生化が鳥取方式だ」と、応じられていました。
 もうひとつ鳥取方式が優れているのは、生育が早く踏圧にも強いティフトンを使ったこと。
 川淵キャプテンはこの点についても、「10年前、ティフトンを使った競技場はほとんどなかった。それが2002年、日韓共催のワールドカップを境に急激に増えた」と述べ、それと同様に、校庭で普及が進んだのは、休息を必要とする芝生から、耐えられるティフトンになったことが大きいと指摘されました。
 ただ、JFAグリーンプロジェクトでポット苗の支援を始めた川淵キャプテン自身も、初めてポット苗を植える行事に参加した際には、「(芝生の校庭をつくるのに)こんな苗を植えてうまくいくわけがないと思いながら植えたんですよ」というエピソードを紹介されながら、「9月には緑一面になってびっくりした」と、今までの常識を打ち破った鳥取方式に期待を寄せられていました。
 また、校庭の芝生化については、川淵キャプテンが、「日本は世界で一番、小学生が運動しない国」と言われているとの話に続き、「芝生を敷いた学校は、どこでも同じ現象ですが、わずか一年で、子供が前傾姿勢で走るようになっている、裸足で走り回る、滑り込む、子供が休み時間外に出てくる」と紹介。
 平井知事は、「(私たち大人が)子どもたちにプレゼントできることのひとつが校庭の芝生だ」と応じておられました。

 鳥取市と鳥取県の報告に続いて(詳細は各HPで)、鳥取市・竹内市長が参加されてのパネルディスカッションが行われました。
 「ドイツの広場は全部芝生でした」とおっしゃる山本さんは、帰国して、土のグラウンドに違和感を覚え、地元の小学校を芝生にされた方ですが、毎日、用水からポンプで水を汲み上げて、水遣りされている苦労話をされながら、それでもそうした「維持管理以上に芝生化への理解を得る方が大変だった」と語っておられました。そして今、小学校では女の子が外で遊ぶことが劇的に増えたそうです。
 和歌山県職員の大橋さんは、いまでは各地の学校を訪問して、土の校庭に「変な感じ」がするようになっているそうです。また、芝生化後のデータとして、水道代は、「初年度増える学校もあるが、翌年度から概ね土の時よりも下がります」と報告されました。
 すかさずニールさんが、上がろうが下がろうが「水道代は学校が払う、水道局が受け取る、小学校ならどちらも同じ市の財布だ」と突っ込みを入れていました。
 竹内市長は、現在進めている保育園・公園に続いて、来年の市長選に向けて小学校の芝生化をマニフェストに入れているとアピールするとともに、市民協働の芝生化の重要性を述べられましたが、少なくとも今まで、鳥取市が小学校の芝生化に消極的だったことを登壇者(パネリストやコーディネーター)はご存じなので、ここから具体的な反撃が始まりました。(まるで議会のようでした)
 特に焦点になったのは、芝生の維持管理に関するコストについてで、竹内市長が、地域の協力がベースになっているが、市としても予算措置をして支援体制をとっている旨、発言されたのに対して、福浜キャスターから、年間25円/m2では4000m2の小学校でも年間10万円しか出ないのでは、肥料や冬芝のオーバーシード、芝刈り機の燃料などにはとても追いつかない。初期投資だけでなく(むしろ初期はtotoをはじめ様々な補助がある)、維持管理への理解が必要だとの訴えがあり、会場の中野理事から、多くの実績を踏まえて、年間100万円が支援の目安だとの指摘がありました。
 竹内市長は、実際に苦労しておられる山本さんの話(前述)にも感じるところがあったようで、みなさまが足りないということであれば検討する旨、答弁があり、まるでこのために開催されたのではないかと思えるほど真剣勝負のパネルディスカッションとなりました。
 もちろんニールさんも口を開き、日本はなんでもかんでも作りっぱなし。維持管理費を出さないなら作らない方がましだと一刀両断にされていました。
 また、芝生化するときはPTAや地域の協力が得られることが多いが、その世代が卒業すると、「芝生ははじめからあるもの」になって、結局なんで地域(自分たち)が世話をさせられるのか、という気分が支配的になりがちであり、将来的に持続可能な芝生化には、スタート時にスプリンクラーの設置と乗用芝刈り機の購入を盛り込んで計画することが望ましいとも指摘されていました。私も、この夏の芝生行脚で同様の結論を得ていましたので、ここへ収斂してくるのは納得でした。
 鳥取方式は全国で昨年までに600校園以上で普及していましたが、中野理事にお聞きしたところ本年だけで400校園を超えたそうですので、1000を突破し急速に広がっています。
 芝生化はお金がかかります(昔ほどではないにしろ)。しかし、しかしそれは平井知事がおっしゃるように「身の丈」程度の投資であり、しかも子どもたちの心身の健全な成長という、持続可能な未来のための必要経費です。

 この稿の最初に戻りますが、私たちは、「意識的に」子どもたちを外に出す、身体を動かすことが求められているという現実に対する回答を出さなければならないのです。
 さらには生涯スポーツだって、お題目はいらないのです。芝の環境さえ作れば黙っていてもやるようになるのです。

 意を強くして帰途についた視察でした。


担当:竹之内則夫 2010年11月4日

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9月16日(木)9月議会個人質問

1、地籍調査の迅速な実施について

先の通常国会で、国土調査促進特別措置法と国土調査法の一部改正が成立した。
今回の法改正が地籍調査の迅速化を図るために行われたことを受け、岡山市として地籍調査の進捗状況や今後の計画を聞いた。
岡山市全域を完全に調査完了するまで、事前レクチャーでは約100年はかかるとのことで、迅速な作業が必要である。
災害時の後の復興時に、地籍調査が終えてない場所では様々なトラブルが起こる。
また、六本木ヒルズの再開発では、境界確認に4年の歳月と1億円の追加費用が発生した。


2、空き家等の適正管理に関する条例の制定について

何回か質問を継続しているテーマです。
岡山市内の空き家や廃屋から、虫が湧いたりごみ捨て場になったり、非行の温床や、火事の危険など迷惑な状況が見られる。
埼玉県所沢市では、「空き家の適正管理に関する条例」が制定され、10月から施行となる。
岡山市でも制定してはどうかという趣旨だが、岡山市では、新しい条例を別個に設けるよりも、現在ある建築基準法の中でやらせてほしいとの話があった。
また、安全安心まちづくり条例のなかで、空き家の管理に関して項目を設ける方向で検討しますとの意向だった。
今後も質問を続け、条例の制定までもっていきたい。


担当:松田安義 2010年9月16日

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9月16日(木)9月議会個人質問

 本市の8月の平均気温は30.5℃で、大阪と並んで最も暑かった8月でした。私が小学生だった頃より3.1℃も高く、9月に学校が始まってからも上旬は4.7℃高く、酷暑が続きました。
 私は、近年の猛暑は「大災害、熱災害」であるという認識に立って対策を求めました。

1.課題に対応した環境整備について

1)学校における猛暑対策

 学校では普通教室だけでなく、運動場も熱中症のリスクに直面しています。早速、9月に運動場の温度について独自に調査を行い3小学校で表面温度を測定してみたところ、どの小学校の運動場も50℃を超える日がありました。また、一部芝生化が始まった学校では、芝の方が土よりも温度が低く、また土の温度が高いほど、芝との温度差が大きくなることが分かりました。  これを踏まえ、ひとつは、屋上緑化、緑のカーテン、それに校庭芝生化など緑化による温度上昇の抑制。もうひとつは、エアコン設置をし、小中学校の授業が成り立つ教室環境を整備するよう求めました。



→扇風機やテント設置など当座の対策は進めていただいていますが、今後の施策については腰の重い答弁でした。
2)外遊び環境の整備

 私たち五十代の「外遊び」の1日平均は約2時間もありましたが、都市化が進み、子どもたちの外遊びが減少するにつれ、人間関係力・社会性・我慢する力の減退が指摘されています。
 今の子どもたちにとって、「子どもの遊び場は消失したのではなく、大人たちが奪ってきた」という視点をもって、今こそ「意図的に外遊びの場を作る必要性」を、今回訴えました。
 具体的には、子どもの遊び環境のマスタープランを各小学校区単位に作成するよう提案しました。

→「外遊び」の重要性を一番理解していないのは行政かもしれません。いつも対症療法です。今回もコミュニケーション能力を磨く「心の健康教室」事業を始めますが、こんな事業をやらなくてもすむ取り組みは後回しです。
3)芝生化の推進

 私はこの夏、横浜市、玉野市、箕面市、磐田市と芝生行脚をしてまいりました。4市の校庭視察から成功の秘訣を申し上げれば、(1)芝や工法などの専門的バックデータをもって臨むこと、(2)維持管理の負担軽減を織り込むこと。この2点に尽きます。
 芝のことを知らないでいままで多くの学校が芝生から撤退してきました。遠くは1973年から5年間、文科省が補助金を出して、かなりの数の学校が芝生化に挑戦した時期にも起こっています。このときのトラウマで「芝生の管理は大変だ」という刷り込みが先生方には強いとも言われています。
 芝生化は一石三鳥にも四鳥にもなるメリットを備えていますが、とりわけ今夏の猛暑を経験しますと、学校に限らずヒートアイランド対策として、冷却効果のある芝生の面整備は急ぐべきです。

→しかしながら、公園担当局長は、不特定多数が利用する公園や広場は、管理上、芝生化は適さないとの見解であり、また教育長は、芝生にも土のグラウンドにもそれぞれに良さがあるという“持論”から一歩も進まれません。
 私は、処方箋として芝生化の提案をしましたが、それは重要課題を解決するための策です。ご両人とも、芝への反論はされても、解決への方策を示されようとはされませんでした。

2.岡山型「新しい公共」づくりの行程について

 高谷市長は平成20年2月議会で、「新しい公共」を担うのは「住民自治つまり市民の自立的な活動」であり、中心的な役割を担う組織は「安全・安心ネットワーク」、そして地域担当職員がサポートする、という構想を表明されました。今議会の冒頭でも、あらためて意欲を示されたところでもあります。
 であるならば、行政は「権限とお金と人、それに拠点」を提供すべきです。要するに、最初の段階では、共助的システムを、どんどん分厚くする仕掛けをしていくことが行政の役割です。

1)権限移譲

 権限移譲の障壁はまさに行政自身です。それは組織防衛ということも含め、行政は前年を踏襲しがちだからです。
 本市では、ゼロベースでの定員分析作業として事業の洗い直しに取り組み、約13600の細事業を点検しましたが、結果として「新しい公共」の担い手に権限移譲する事業がいくつ出てきたのかを問いました。

→驚いたことに、2~3件だとのこと。ゼロベースとは聖域を設けないという意のはずが、13600がほぼゼロ回答だったということです。
2)補助金の一本化等

 小学校区へ下りている補助金は合計約3億円。タテ割りですから、それぞれの団体ごとに使途が制限されています。補助金を地域の重点課題にメリハリをつけて使えるようにするためには、一旦ひとつの財布に入れて協議するのが有効ですし、そうした自治体も出てきています。

→今年から始まった区づくり推進事業のように、地域の自由度が高まる方向で、更なる検討をしていただきます。
3)地域担当職員

 自治活動の支援を求める声、あるいは地域が話を持っていく役所の窓口や担当者を一本化してもらいたいという声をもとに、これまでも制度設計を急いでいただくよう要望してきましたが、今回、中学校区に一人というプランがでてきました。選任にあたっては庁内での公募で意欲のある職員を配置していただくよう提案しました。

→庁内の業務に精通した再任用(OB)職員を検討しているとのことでした。
4)拠点整備

 昨年要望していた、市長部局への公民館の移管については、検討を進めていただいていますが、今回は地域自治の文脈で地域の子どもも高齢者も、誰もが気軽に集える「ご近所福祉の拠点」を各小学校区に整備する必要を訴えました。

→今回は具体的な話はでてきませんでした。私はコニュニティハウスの再整備とともに、開かれた学校づくりの延長で、小学校の中を検討すべきだと考えています。

3.市民サービスの拡充について

 今、市民サービスに欠けているのは、「対応できていない土日や夜間など、時間軸でカバー領域を拡大する=主に就業者の利便性向上」と、「区役所や地域センターへのアクセスの不便さや距離など、移動のストレスを軽減する=主に高齢化社会対応の向上」です。
 この10月からは、天満屋岡山店の地下にあるサービスコーナーが毎日曜日にも開きますので、一歩前進したところですが、次の方針、工程を示すよう求めました。また併せて、市民相談や福祉事務所での土日や夜間の受付窓口の開設も検討するよう求めました。

→方針は示されませんでしたが、前向きな検討を約束されました。

 一方、岡山市役所において、きちんと仕事をしている部署とほったらかしの部署が混在しているまま放置されている事例を通して、庁内での統制が利かなくなっているのではないかとの懸念を伝え、勤務評価を反映させる処遇の幅を大きくするなど、統制の効く仕組みが必要だと訴えました。

→昨年からはじめた評価制度を機能させていく旨答弁がありましたので、民間並みの厳しい基準に近づけるよう要望しました。

担当:竹之内則夫 2010年9月16日

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9月9日(木)学校園における猛暑対策についての要望

 本日、公明党岡山市議団(団長、則武宣弘)は高谷市長と山脇教育長に対して、学校園における猛暑対策についての要望を行った。

 近年、地球温暖化の影響等により毎年、猛暑の夏になっています。
 特に、本年は気象庁が統計をとり始めてから、過去最高の暑さを記録しました。本市においても8月の平均気温は過去最高の30.5度を記録し、日本で一番暑い市でありました。
 当然これらの影響で熱中症にかかる方も多く発生し、今年5月31日から8月29日までに、熱中症で救急搬送された人は全国で46,728人で、病院に搬送された直後に死亡が確認された人は158人だったことが、総務省消防庁の調べで分かりました。しかし、死亡状態で発見されたり、入院後に死んだりした場合を含め、警察、自治体などから取材をした時事通信の調べでは496人が熱中症をきっかけとして亡くなっています。本市においても8月は2,534件と過去10年間で最多で、熱中症による体調不良で搬送された人の増加が件数を押し上げたとみられます。
 このような酷暑が続くなか、1日より2学期が始まりました。教育の現場では子どもたちが勉強に集中できるよう暑さ対策を工夫していると聞いてはいますが、今年の暑さは異常であり先生方も児童・生徒もこの暑さに対応ができないのが現状です。この猛暑が今年限りの異常気象ではなく、来年以降も続いていくことが予想されるなか、子どもたちの健康にもかかわり、勉学に集中できる環境整備をすすめるため、早急に学校園の猛暑対策を講じる必要があります。
 よって、私ども公明党岡山市議団では以下の項目を学校園の猛暑対策として講じるよう強く要望いたします。

1、幼小中学校等の教育環境改善のための冷房機の設置を推進すること。
2、校庭等への屋上緑化、芝生、緑のカーテン、再生水を使用した水打ち、
 校庭の地下等に雨水利用や貯留浸透施設の整備を進め、多くのクール
 スポットを持つクールスクール(涼しい教室)等の推進を行うこと。
3、当面の対策として小中学校等の教室に扇風機を設置して対応すること。
4、運動会または練習等では熱中症対策として水分補給をとるよう指導し、
 テント設営等を行い避暑地を作ること。
5、今後、小中学校等のエコスクール、クールスクール事業の展開として、
 特に太陽熱、太陽光発電、地中熱等を幼稚園・保育所、小中学校の冷暖
 房(エアコン)に使うこと。

担当:竹之内則夫 2010年9月9日

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8月20日(金)常任委員会視察報告 環境・消防・水道事業委員会

1、1日目 秋田市環境基本計画・環境貯金箱作戦について

・秋田市環境基本計画

秋田市は豊かな自然が残り、都市と自然が調和した美しい都市だが、世界に目を向けると地球温暖化やオゾン層の破壊、有害化学物質問題など人類の生存基盤に係わる問題が発生している。秋田市民の健康と安全かつ快適な生活が営めるよう、平成13年3月環境基本計画を策定した。(平成19年に、平成26年度までの改正を実施)
岡山市とは異なる特徴は、現在の健全な大気環境・水環境の維持、雪と向きあうまちづくり・グリーンツーリズムの推進などで、良好な住環境の維持に務めていること。

・環境貯金箱作戦について

平成14年のごみ排出量を基準にして、平成16年度より、毎年いくらのごみ減量と、それに伴う経費の節約が出来たかを、環境貯金の形で、市民に周知し、市民の協力を得て、効果を挙げている。成果はホームページに掲載。平成21年度は1万5千トン余の減量で、1700万余の貯金が出来ていた。

2、2日目 盛岡市水道資源保護施策取り組みについて

盛岡市は、岩手山をはじめ、周囲の山並みを背にした緑と水に恵まれた自然豊かな都市です。河川の水質は良好で、水道事業はこの良好な源水を水道水源として、おいしい水道水を供給している。この清らかな源水を将来にわたって維持するために、盛岡市水道水源保護条例を制定している。水道取水口の上流に水道水源保護区域を設定し、事業者と市が水道水源保護協定を結び、水源滋養林の植樹・維持、開発の規制など水源保持に力を入れていた。

3、3日目 一関市 岩手・宮城内陸地震における防災対策の効果・課題と災害筆耕の取り組みについて

平成20年6月14日、午前8時43分ごろマグニチュード7.2の岩手・宮城内陸地震が発生した。一関市は震源から23.6km離れていて、人的被害は死亡者1名、負傷者2名、孤立者225名であった。被害は山間部であったので、地すべり、道路の切断などが主な被害であった。人的・建物被害が少なかった要因は、建物被害が出にくい短周期地震波が0.5秒、住宅の少ない山間地が震源、積雪に備えた骨太の家・トタン屋根、観光客の少ない季節と時間などであった。当日は市の幹部が会議で集合していたので災害対策本部設置が早期に立ち上がり、国・県・自衛隊災害派遣要請まで即対応が出来た。災害応急対策ハンドブックを配布していた。避難所は1箇所、医師会が健康診断、ボランティアによる炊き出しなどの活動がなされた。風評被害の影響は長く残った。

担当:高月由起枝 2010年8月20日

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8月19日(木)子ども・子育て新システムについて

<概 要>

 今年6月29日に「子ども・子育て新システム検討会議」は、子ども・子育て新システムの基本制度要綱を決定をしました。平成23年の通常国会に法案を提出して平成25年度の施行を目指しています。
 目的はすべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子どもを大切にする社会を目指し、出産・子育て・就労の希望がかなう社会、仕事と家庭の両立支援、新しい雇用の創出と女性の就業促進ができる社会を実現しようとしています。
 このたびの新しいシステムとは、政府の推進体制・財源の一元化を行い、社会全体による(国、地方、事業主、個人)による費用負担を行い、基礎自治体を重視していくもので、幼稚園・保育所の一体化をすすめ多様な保育サービスの提供とワーク・ライフ・バランスの実現を進めていく方針である。

<所 感>

 このたびの新システムでは「子ども・子育て勘定(仮称)」を作り、財源を一元化しようとしています。これは従来の文科省・厚労省の縦割り財源で地方に補助金として交付されていたものが、子ども・子育て包括交付金(仮称)として給付される仕組みに変えようとしていることは大きく評価できる。
 従来の「保育に欠ける子ども」を保育園が預かり、「幼児教育を行う」として幼稚園があるが、それらを「すべての子ども」に良質な成育環境を保障する「こども園(仮称)」として幼稚園・保育園の一体化を進めていこうとしている。概念的には賛成であるが、現在ある「認定こども園」が普及していないことを考えると、幼・保の間の壁は厚いと思われる。しかし、財源面での一元化が進むことで前に進めることが望まれる。
 現在、市町村では保育園などの設置を認可し、国の補助金を交付してもらい整備を進めてきたが、新システムでは市町村の実情に応じた現金給付・現物給付の組み合わせ(配分)や給付メニューの設定(選択)ができるようにしようと考えている。これは大賛成であるが、地域主権の定着が進んでいくかが課題となると思う。
 幼稚園は学校法人、保育園は社会福祉法人でおおむねが設立されてきているが、新システムでは多様な事業主体の参入を考えており、NPO法人、株式会社など客観的基準を設け参入を促進していこうとしている。総論的には賛成であるが、幼児教育・保育サービスの質の保持をどのようにしていくか、また、競争概念がこの分野にどの程度必要なのか、まだまだ検討課題が多いと感じた。
 幼稚園教諭、保育士の資格の共通化等処遇の問題がこども園(仮称)には起きてくる。担当者の説明によるこれらの問題はすぐに解決ができないので先の話であると言われた。こども園(仮称)にするときに職員の処遇問題は大きな問題であり、これらをクリアしていかなければ前に進まないと思う。
 最後に法案の可決の見通しについて聞いたところ、この新システムについては検討課題が多いため、何とも言えない状況であると感じた。仮に法案が可決してからも上で述べているような課題が山積している。ただ、本市としては区の動向を踏まえつつ、子ども・子育て施策を前に進めていくことが重要であると思うので、新しい取り組みに独自でできることは推進をしていくべきである。

担当:則武宣弘 2010年8月19日

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8月5日(木)男女共同参画次世代育成調査特別委員会 視察報告

岡山市男女共同参画次世代育成調査特別委員会は8月3日から5日、札幌市、横浜市、京都市を行政視察に訪れ調査を行った。参加議員は11名、当局からは担当審議官3名と議会事務局1名が同行した。公明党岡山市議団からは則武・高月・竹之内が参加した。

◆8月3日・札幌市、札幌若者支援総合センター

センターの役割

当センターは、引きこもりをはじめ何らかのつまづき、あるいは発達障害等のため自立・就労できない若者を支援するためにオープン。
単なる相談窓口ではなく、

  1. 自立支援
    相談窓口を設け、一人ひとりに合ったサポートプログラムを提供したり、最適な機関への橋渡しをする。
  2. 交流の促進
    最初はプログラムを通じて同じ悩みを抱える同士が交流することで、孤立を解消し、施設外の活動団体との交流へと広がるきっかけをつくる。
  3. 社会参加への促進
    地域のイベントやボランティアなど、あるいはジョブトレーニングでワンステップ体験をする。

センターにこの3つが揃っていることが重要なポイント。

来所する若者たち

このセンターはあくまで自発で(あるいは親の後押しで)やってくる若者を支援。(意思のない引きこもりなどへ出向く機関ではない。)
彼らの三分の一は病院や精神福祉施設へ通うことを選択することになるが、職員の感触としては、そうすべきと感じる割合は全体の半分を超えるそうだ。
継続的な支援を受ける若者にカードを発行するが、

  1. そのうち約三分の一が就職・職業訓練・進学などの進路決定に至っている。
  2. 次の三分の一は自分でジョブカフェかハローワークに通っているか、精神福祉施設へ行っている。
  3. あとの三分の一はいなくなる人たちと継続して通っている人たち。
各機関の連携
  • ジョブカフェからは、就労は無理、しかしいきなり「病院へ行け」とは告げにくい、結局サポステを紹介するというケースが多いそうだ。
  • 医療機関や精神福祉機関については、サポステからネットワークで繋げていくルートづくり(関係づくり)をやってきたが、逆に両機関から送ってこられることのほうが多いとのこと。(苦笑いされていました)
  • 学校(大通高校)との連携では、キャリアカウンセラーが週に3回学校に赴き、在学中の生徒を支援する態勢をとることで、リスクが顕在化する前から関係をつくる(仲良くなる)ことができ、不登校や孤立化を防ぐとともに、中退や進路未定のまま卒業した生徒についても継続した支援が可能となっている。この点が、中退情報を吸いあげて対応を試みる高知県の若者はばたけネットとは異なる。
就労や自立に向けたステップ例

結局、若者一人ひとりのニーズに合った自立のあり方を、個々に合わせてオーダーメイドの企業探し等が行われているが、その前段階では、

  • 任意団体を立ち上げて、何でも屋のような請け負い業を行い、舞い込むニーズ(仕事)に応じて可能なメンバーが仕事をする形態でジョブトレーニングと収入を得る手法。
  • 試しに農村に行って、できる役割をこなしながら、農業コミュニティの中で生きていく道を探す試み。
当事者より

「社会にこういうワンクッションがあるのはありがたいし、増やしてほしい。」「ブランクが長いと不安もあるし、現実には(すぐさま仕事に)対応できない。」
これは、ニート状態の克服を目指して来所したSさんの話。彼は、現在、当館の清掃スタッフとしてジョブトレーニングを行っており、働くことに自信がついてきたようだった。
札幌若者支援総合センターが機能することが、自立に向けた足がかりになっており、岡山市でも積極的に取り組んでいきたい。

◆8月4日・横浜市、横浜市立高田東小学校

横浜市は、平成14年から16年まで3年間で毎年2校、計6校がモデル事業として校庭全面芝生化に取り組んだ。
そのうち現在も良好なのは3校で、残り3校は禿げてしまったり雑草化している。

モデル事業の課題
  1. これは、校庭面積に比して児童数が多い学校を選定したことが主な原因で、踏圧過多による。
  2. また、野芝の改良型「みやこ」を張る工法を選択した(業者の提案)ため、
    i) 業者への初期費用(平均1800万円程度)とは別に、
      毎年の維持費用(平均60万円程度)がかかっている。
    ii) 養生期間の設定が必要となり、一定期間使用できない
      不便さを抱えている(授業や部活に支障がある)。
    iii) 雑草を手作業で抜く苦労をされている。
  3. 維持管理(特に芝刈り)について、地域の協力体制が維持されないと、芝は良好な状態を保てなくなる。
対応策

そこで、芝生のあり方検討委員会を設け、こうした課題への対応を検討。
一方、横浜市では、区の独自事業として、泉区・戸塚区の計9校で、鳥取方式による芝生化がスタート。
横浜市教育委員会は、鳥取方式の利点が従来の芝生化事業の課題解決につながる点があることから、22年度より鳥取方式による部分芝生化事業をスタートさせている。

視察所見

課題解決はバミューダグラス(ティフトン419)の特性によるところが大きく、ポット苗方式により初期費用を抑えられ、養生期間も草取りも不要で、そして感触もより優しく柔らかいため児童たちをさらに引き付ける利点がある。
単純化して言うならば、

  1. 芝生化に適した校庭面積の学校を選ぶ。
  2. 鳥取方式でティフトンを使う。
  3. 地域の協力姿勢が強い学校で行う。
    というのが芝生化を成功させる要素になる。
芝生の効用

高田東小学校の先生方の感想を聞いたところ、

  • 外で遊ぶ子供が多い。
  • 芝生のある環境はいやされる。(児童も先生も)
  • 芝生を通じて愛校心が育っている。(地域の方の思いや汗は子どもに伝わっている)
  • 今は、芝生に不安・心配といった父兄の声はありません。
    とのこと。その良さは定着しているようです。

◆8月5日・京都市、京都市発達障害者支援センターかがやき

京都市発達障害者支援センターかがやきは、成人への支援とともに、療育については児童福祉センターの一部門としての側面もあり、児童福祉センターの児童精神科医(主治医)6名と連携して支援を行っている。(びっくりしました。6名もいらっしゃいます。)
事業の柱は、以下の4つであるが、札幌若者支援総合センター同様、必要な機能がきちんとある、逆に言うとこれだけの機能が揃ってないと足りないと感じた。

相談支援

発達障害の成人と家族に対して行っているが、すぐには解決しないので増加傾向にある。
また、次のステップとして、利用者同士が集まる「ソーシャルクラブ」が定期的に運営されており、居場所づくり、リフレッシュ、情報交換などの場となっている。
また、家族への支援として、家族が発達障害者・本人を理解し対応できるよう学習会(家族ミーティング)を行うとともに、行政の支援などの情報提供を行っている。

就労支援

かがやきに定期的に来所し「就労準備プログラム」を通じて、本人の職業評価や就労実習を行うことで、個々人に合った支援を探っている。
また、ソーシャルクラブが、就労のための基礎的なトレーニングの場となることもある。

普及啓発及び研修事業

支援者を養成する「トレーニングセミナー」を毎年3回行っており、受講修了者には、セミナーや研修の際に、アシスタントはボランティアとして参加する機会を提供することで、研修の内容を実際の支援に繋げやすくしている。

発達支援

まず保護者を対象にした学習会(2種類)により、保護者が発達障害の理解と支援について学ぶ場を設けている。(概ね月に一回)
もう一つは直接指導(療育事業)による「個別指導プログラム」。(これは半年単位で1時間1500円)
小学校低学年くらいの児童が多く、児童精神科医(主治医)と保護者と療育者が常に子どもの情報を共有し、より子どもに合った支援を行っている。
1年間で100人程度の支援を行っているが、希望者が多く、数年の待機状態となっている。



担当:竹之内則夫 2010年8月5日

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7月23日(金)建設委員会 行政視察報告

 磯野昌郎と酒見寛の両名は建設委員会のメンバーとして行政視察に参加しました。以下視察目的、概要を報告いたします。

◆7月21日 宇都宮市 下水道・管きょの長寿命化計画について

 日常生活や社会活動に重大な影響を及ぼす事故発生や機能停止を未然に防止する宇都宮市の下水道・管きょの長寿命化対策の取り組みを視察しました。
 長寿命化計画の策定、そして対象区域の設定、調査・診断の概要、判定基準、調査の方法、調査の手法そして実際の長寿命化工事、など宇都宮市の取り組みは大変に参考になり、岡山市の取り組みにいかしていきます。

◆7月22日 仙台市鶴ヶ谷第一市営住宅団地再整備事業について

 仙台市の市営住宅建て替え整備事業の取り組みについてレクチャーを受けました。岡山市で予定されている市営さくら住座の建て替え整備事業や、今後の市民住宅整備事業に参考にしながら活かしていきます。

◆7月23日 札幌市創成川通り道路事業及び緑地空間整備事業

 札幌市は、同市が誇る東西に伸びる大通公園同様、南北に伸びる創成川を同市の最重要公園事業と位置づけ整備事業に取り組んでいる。創成川通アンダーパス(地下トンネル)事業や具体的な緑地空間のデザイン計画などは、岡山市に西川緑道公園があるので大変に身近なものに感じました。
 岡山市の今後のまちづくりや西川緑道公園整備にいかしていきます。



担当:酒見寛 2010年7月23日

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7月23日(金)市民文教委員会 行政視察報告

岡山市市民文教委員会(松田安義委員長、吉本賢二副委員長)は7月21日から23日まで、新潟市、川崎市、静岡市を視察した。公明党岡山市議団からは松田安義委員長のほかには竹之内則夫(委員)が参加した。

◆7月21日・新潟市、新潟市スポーツ振興基本計画について

岡山市は遅れているスポーツ振興基本計画を本年度中にとりまとめる作業を急いでおり、市民が支えるプロスポーツのモデルとして成功しているアルビレックス新潟(Jリーグ)をファジアーノ岡山に見立てながら、すでに計画策定を終えている新潟市の基本計画の策定過程と今後の課題を調査した。
すべての過程において特徴的だったのは、丁寧に丁寧にされているという点。
教育委員会から諮問された審議会が答申案をまとめるのに2年間をかけ、その間に市民への周知、パブリックコメント、フォーラムなどを相次いで開催。
答申を受けた教育委員会も素案を広報。ホームページで周知するとともに、ここでもパブリックコメントを募集している。
そして計画策定後も市民意識調査をされており、計画期間の26年度までに再度行うとのこと。 練った分だけしっかり仕上がっていた。
実際、基本計画を拝見しても、健康スポーツ・競技スポーツ・みるスポーツ・支えるスポーツに体系立ててあり骨格がきちんとしている。
また実施計画においては、基本計画を推進する具体的な事業と予定年度が盛り込まれており着実な前進がみてとれた。
こうした優良な手法は、本市の工程表を確認したうえで取り込んでいくべきと思われる。

◆7月22日・川崎市、はるひ野小中学校・一体校

同校は、PFI事業で建設・運営されている小中一体型校舎の学校で、現校長(小学校と中学校におひとりずつ)が1年間開校準備室で練り上げただけあって、オープンで斬新な素晴らしい教育環境となっていた。
ハード以外にも、教員も公募で異動、小中の職員室も同室、施設管理はPFIなので、先生は教育に専念できる環境となっている。
中一ギャップの解消については、小中学校の9年間を4-3-2の節に分けた教育課程編成の工夫と実践がなされており、不登校率も低く抑えられ、また、通常中学校進学に際して私学への進学が3~4割の地域にも関わらず、それが1割程度と低く抑えられていることからも、一定の成功がうかがえた。
ただ、両校長の信頼関係が厚いことが、トータルにみて学校運営を良好で円滑なものにしている側面もあり、将来的に人的要素でいくらかの懸念も感じた。
一方、街づくりの想定よりも住宅開発が進んだため、教室が不足する事態となり、建て増しした部分が統一感を欠くなど、想定外の課題の発生もみられた。
岡山市においても足守での計画が審議されており、現在の保護者からも様々な不安の声が寄せられているが、はるひ野での保護者アンケートや児童・生徒アンケートを見る限り、また実際に現場を見た印象としては、前向きに進めていきたいと思った。

◆7月23日・静岡市、区民懇話会

政令市には大きく分けて2つの行政手法がある。それは、「大きな市役所、小さな区役所」タイプと「小さな市役所、大きな区役所」タイプだ。
初日に訪問した新潟市は「小さな市役所」タイプで、一定の予算権限等を区役所に渡して区ごとでの街づくりを目指している。一見よさそうだが、それぞれの区に多くの機能を持たせることは決して効率的ではない。昨今盛んに平成の大合併が行われた由縁もその克服にあった。
静岡市は岡山市と同様「大きな市役所」タイプを採用している。中央で意思決定を行い、各区は事務執行機関にすることで中核市(政令市移行前)の効率を損なわないよう配慮をしている。
しかしその分、各区に合った特色のある街づくりはできにくくなるのだ。そこで工夫が必要になる。
本市でも区民会議の構想が持ち上がったが議会が難色を示して頓挫した経緯がある。
そこで、千葉市をモデルにした静岡市の区民懇話会が第3期目に入っているのを視察させていただく次第となった。
前置きが長くなったが、拝見してみて確かに各区の特色ある提案が出てきているのだが、(1)執行する予算額が小さいこと、(2)1クール2年間をかけて提案が出てくること、(3)懇話会には決定権がないこと(区長あるいは市の担当部局の検討を経て事業化されることになっている)で、手間ひまかかる割にパンチが効かないというか、アウトプットが貧相になってしまう。
それと、2期、3期と回数を重ねると、提案内容が似通ってくる、マンネリ化する傾向が否めないため、事業としての継続性を検討する必要に迫られるようにも見受けられた。
その意味では、本市の議会は適正なジャッジをしたのかも知れない。ただ、区のニーズや特色を形にするための仕組みづくりは課題として残っており、引き続き研究しなければならない。
私は、区で考えるよりも、小学校区を単位とした街づくり協議会(仮称)を想定した、もっと住民に身近な仕組みのほうが適切で実際的なのではないかと考えている。

担当:竹之内則夫 2010年7月23日

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7月22日(木)総務委員会 行政視察

7月20日「電子自治体及び今後の動向について」 NTTDATAショールーム

<概要>

 電子政府の目的は大きく3つあり「国民サービスの向上」「行政業務の効率化」「新産業創出/産業競争力の向上」である。しかし、この効果が十分に創出されていないことがよく指摘されている。特に行政コストの削減と国民サービスの向上である。
 なぜ効果が創出されないのか。それは官民接点のみの電子化に留まっており、内部業務は従来の紙ベースのまま、業務プロセス、組織の変革にはほとんど手がつけられていない。改善にはBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)が必要である。また、システム最適化への取り組みも、効果創出の追求よりも、オープン化によりITコストそのものを削減する方向が望まれている。
 以上の課題を解消し電子自治体を推進していくためには、

  1. これまでのICT投資の総括とそれを教訓とした行政刷新
  2. 行政サービスのオンライン利用計画の策定
  3. 行政ポータルの抜本的改革と行政サービスのアクセス向上
  4. 国民ID制度の導入と国民による行政監視の仕組みの整備
  5. 政府の情報システムの統合・集約化
  6. 全国共通の電子行政サービスの実現
  7. 行政情報の公開、提供と国民の政策決定への参加の推進
  8. 行政機関が保有する情報の活用である。

 具体的な先進例としてデンマークの電子政府を紹介された。デンマークは国民幸福度No1であり、電子政府の評判が高い。経済危機、財政赤字の健全化を目的に、1970年代から行政の効率化を実施し、2007年の行政改革により、1,000以上あった市(コミューン)を98に集約して、ICTを使って業務の効率化・組織改革を行った。そこには強力な推進体制を持つ「STS」というIT政策の最高意思決定機関があり、そこで推進し、電子申請は24時間OK,企業の申請届出は100%オンライ化を義務付けた。国民IDは病院、納税、銀行口座開設、レンタルビデオの貸し出しまで利用でき、官民がデーターベース化を共有しているので複合的な効果が創出されている。デンマーク政府は効率性向上を曖昧とせず、「人員と予算」の削減を目指した。具体的にICTによる業務効率化効果で国税庁12,000人の職員を5年間で7500人にしている。
 次に佐賀県における自治体クラウド開発事業の取り組みやバックオフィス連携、北九州市における全体最適化プラットフォームなどやヘルスケアシステム事業など社会保障カードの実証事業についても説明があった。

<所感>

 国民IDカードが将来の電子申請などに大きな役割をしていくが、日本では住民基本台帳カードがある。しかしこの利用は個人情報保護の観点から限定されており、多方面での利用ができない。政府は税に背番号制の導入を考えていこうとしているが、課題が多く国民合意が得られるかが不透明である。国民・住民の側に立った電子自治体を目指せば、このIDカードの利用推進や認証制度の進展が大きなカギになる。
 さらに行政の効率化を推進の大きな成果として人員や予算の削減がどこまでできるのか。その工程がなかなか見えてこない。BPRやCIOを取り入れシステム・業務・組織を動かしていかなければいけない。
 認証実験を国のシステムで自治体が実施をするが、各省庁が各々実施をしていることが多く、実験後にそれが利用できるかどうかは大きな疑問が残っている。これらの問題についても課題が多い。

7月21日「発注工事の入札における開札後の疑義申立てについて」 小田原市

<概要>

 小田原市は平成21年10月1日より「発注工事後の入札における開札後の疑義申し立て制度」を導入した。導入の理由は最低制限価格制度を採用しているが、事業者の設計における積算能力の向上により、その価格で落札すべく応札する事業者が増加し、精度の高い設計が求められたことや神奈川県や近隣市が同制度導入していることがあげられる。また、入札後の設計金額等の事後公表票の公開を行っており、違算(積算ミス)が認められた際のマニュアルとして作成している。
 疑義申し立ての具体的事例としては、試行後、現在までにおける申し立て件数は2件ある。導入後の成果や反省点としては、疑義申し立ての前に設計内容(設計金額の事後公表票)を入札参加者が確認できることから、誤った入札による落札者の決定を回避できる。また、疑義申し立てが可能となったことから、工事設計者がより精度の高い設計書を作成するようになった。それと再度入札となると工期が遅れることから早期発注が必要となる。
 小田原市においては、正式に疑義申し立てする前に設計内容(設計金額の内訳を事後に公表する票)を入札参加者が確認できるとともに、契約後、広く一般に公表する設計内容(設計金額の内訳を事後に公表する票)と同じものである。しかしながら、他市においては疑義申し立ての前に確認できる「設計内容」と、契約後、広く公表する設計内容(設計金額の内訳を事後に公表する票)の対象範囲が異なっていることがある。このことは今後の入札事務(事業者の設計積算)に大きく影響することから、慎重に対応することが必要と考える。

<所感>

 岡山市がこの制度を取り入れた先進市として勉強をさせていただいたが、小田原市においても2件の疑義申し立てがあったようである。入札後に設計内容公表するが、小田原市においてはすべてを出さず、一部を公表していない。岡山市も工夫が必要と感じた。また疑義申し立ての前に小田原市の設計内容を入札参加者が確認することができるが、どの範囲までを閲覧とするかが課題と感じた。また、再度入札の場合、工期が遅れることになるため、いかに短縮するかが課題と感じた。

7月22日「庁内人材バンクの創設及び人事管理システムについて」 浜松市

<概要>

 浜松市は職員のマンパワーを活用し、緊急的かつ繁忙期に際し、行政ニーズに迅速に対応するため、「庁内人材バンク」を創設し、職員の職歴、業績、資格などをコンピューターに登録し、各種業務の繁忙期などに必要な能力を持った人材を派遣できるシステムを作っている。人的資源を効果的に投入し残業手当などの人件費の圧縮にもつながる。昨年11月頃からデーター入力の作業を進め、今年1月より人事異動では初めて活用した。
 特に生活保護は急増しており、年度末に対応するため生活保護の手続きや自立支援を担当するためケースワーカー経験者を4人充てた。
 浜松市の職員は5,900人であるが、昨年秋に行われた「浜松モザイカルチャー世界博」事業では、膨大な紙ベースの人事台帳からイベント経験者を探した経験からコンピューターでのデーターベース化を進めた。職員の希望する業務や適材適所の配置がスムーズになり、モチベーションアップや組織の活性化につながると考えている。

<所感>

 庁内人材バンクのシステムは本市で採用していくべきであるが、本人の希望に沿うような配置ができるのかが課題である。例に出された生活保護のケースワーカーの職種は人によればやっと違う部署への異動できたという思いを持っている職員もいたようである。また、現在の部署との兼務になるため、そこでの所属長との関係など難しい課題もあるようだ。

担当:則武宣弘 2010年7月22日

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6月10日(木)6月議会個人質問

 国にあっては、国民の審判も受けず、ドタバタと総理大臣が交代されました。社会保障にかかる財源の確保と税制改革に、今度はちゃんと道筋をおつけになるのかどうか、注目をしているところでありますが、もちろん本市にとっても財源問題は他人事ではありません。
さて、持続可能な都市づくりの基盤になるのは、なんといっても持続可能な税収構造であります。
その意味では担税力のある市民をいかに増やすかという施策は、都市間競争を勝ち抜くためにも戦略的に重要になってきています。
実際、こうした施策の的になっているのは、DEWKS(double employed with kids)といわれる、仕事と子育ての両立を希望する共働き夫婦です。
まさに、都市の将来を見据えたとき、施策の真ん中に据えるべきはワーク・ライフ・バランスであり、より具体的には保育の拡充と雇用の創出なのです。
今回もあらためて、そのボトルネックたる保育から、質問戦を行いました。

1.保育基盤の拡充について

 今年は保育園を新設するという行政の意思と、切実な市民ニーズと、新設を申し出た事業者とが揃いながら、保育専門委員会の判断を受け、2園の新設が却下されました。
子育てと仕事を両立したいという家庭の願いをつぶし、将来の都市基盤を損なう判断であります。
私は、今までのやり方を変える以外に解決の道はないことを、ひとつひとつ諭すように質問しました。
山陽新聞、岡山日日新聞でも詳しく取り上げられましたので、ここでの詳細は省きますが、ただ1点申し上げれば、今の、業界配慮型の保育施策はもちろん是正が必要なのですが、一番問題なのは、入所待ちの子どもたちをどうすれば解消できるのかという解答を行政が持っていないということです。
預けたくても預けられない家庭の苦悩と、実は無策のままの行政。ここを突き崩すのが私の仕事だと決めて3年間挑んできましたが、風穴が開くまでもうひと押しだと感じています。

2.デイジー、デジタル教科書の普及について

 障害のある児童生徒が使用する音声読み上げのコンピューターソフトを利用した教材(デイジー教科書と言います)について、学校現場での普及を↗図るとともに、次世代教科書たるデジタル教科書を先生の研修やモデル校で使うなど、積極的に導入するよう要望しました。

→ 相変わらず教育委員会は慎重というより後ろ向きな答弁をします。トライしないハートで教育を語れるのでしょうか。

3.障害者の就労支援について

 すでに、障害者は国内に少なくとも720万人を超え、18人に1人は障害がある時代です。
しかし本市には、障害者を雇用する企業に対する独自の支援事業が何ひとつありません。本市は岡山県内の他の市町村に影響を与える立場にあり、積極性を出すことが求められています。

→ 国の施策を周知しますとの答弁は残念でした。そこでまず、入札における障害者雇用の優遇措置を検討するよう求めました。

 次に、法定雇用率達成状況を確認し、範を示す努力を求めた後、障害者団体等に対しての業務委託については、

→ 今以上にしっかり取り組むとともに、偏ることなく各団体に機会を提供するよう指摘したところ、その旨答弁がありました。

 また、就労継続支援A型事業は今のところ障害者雇用の切り札的存在ですので、どういう支援が必要なのか、事業者にヒヤリングし、新規参入を促進する施策に取り組むよう求めました。

4.生活排水処理の推進について

 本市では、生活排水処理にあたって、整備期間と事業コストの割高な下水道全体計画を見直し、合併処理浄化槽普及へシフトする政策転換を行いました。
そしてインセンティブが働くように、本年度より、単独処理浄化槽や汲み取り式トイレから合併処理浄化槽に移行する場合、4割分の補助金にさらに上乗せを行い、ご家庭での負担が半分で済むよう支援を始めました。
私は、具体策を打ったことを評価した上で、以下の課題を解決するよう求めました。
市街化区域には目的税たる都市計画税が課税されますが、現状4人に1人は公共下水道の恩恵に浴してはいませんし、7年以内に整備が見込めない世帯も相当数あります。納税者に対して受益と負担の公平性が損なわれている訳です。
そこで、浄化槽の維持管理費に助成をすべきであること、また上記補助金の上乗せは、認可区域外が対象ですが、認可区域内にあって下水道整備が7年を超える地域をこそ、都市計画税の一部払い戻しという意味合いにおいても、対象に加えるのが妥当であると訴えました。

→ 実は認可区域内というのは下水道局の縄張りなんです。ここの合併処理浄化槽を支援するというのは彼らが最も嫌がることでしたが、環境局が検討する旨答えてくれました。期待したいと思います。

 また、屋外の公園等を対象に調査したところ、260のトイレのうち、水洗化されているのは、ほぼ半分の131か所、あとの半分は汲み取りでした。
他にも、桑野や財田のスポーツ広場、西大寺交通公園なども汲み取りです。
住宅の水洗化率が88.8%なのに比べると随分お粗末です。
公衆衛生面や、子どもの安全面での問題もありますので、積極的に合併処理浄化槽に改修するよう求めました。

→ 認可区域内は接続まで待つ、区域外はそのまま、つまり何もしないというのが行政の腹の中です。不作為をこのままにさせないよう、引き続き監視していきます。

5.本市の観光戦略について

 残念ながら本市には国内外からお客様を呼び込むだけの圧倒的な目玉がありません。
そこで、市域にこだわらず、世界的な第1級の観光資源である瀬戸内海を観光戦略のど真ん中に据え、特にアジアの観光客を瀬戸内海に呼び込むために、沿岸の各自治体と観光プロジェクトを立ち上げ、京都をパッケージパートナーにした商品化に取り組むよう提案しました。
また、ビジュアルプレゼンテーションを強化するために、緑川洋一さんの写真を活用すること、ホームページを刷新することを求めました。

もう一つ、瀬戸内は食べ物が美味いのです。
海のシェフ、海の食材のプロたる漁師さんと組むべきです。一方では、経験に支えられた漁師さんという無形文化財は高齢化し後継者が途切れようとしています。お客様のニーズからも、地域振興の点からも有効な取り組みとなると思います。
瀬戸内海は英語では「the Inland Sea of Japan」、つまり世界に誇るニッポンの島海なのです。
「岡山」ではなく、あえて「瀬戸内海」を売り出すべきであると強く申し上げました。

→ 観光を重点施策と位置付ける高谷市長から、前向きな答弁がありました。

担当:竹之内則夫 2010年6月10日

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