議会だより

川崎市の居住支援制度を視察 5月11日(木)

岡山市の居住支援を行うにあたり、5月11日(木)川崎市の居住支援制度について視察しました。以下、その概要を報告します。

川崎市では、外国人市民をはじめ高齢者、障がい者、ひとり親世帯などが民間賃貸住宅に入居しようとする際、家賃の支払いができる(支払い能力がある)にも関わらず、正当な理由がないまま入居を拒まれていたことを背景に、民間賃貸住宅への入居機会の確保のため、2000年4月に川崎市住宅基本条例を制定している。 市が入居支援に関する施策を講じる責務についての規定が設けられており、特に「民間賃貸住宅への入居に際しての必要な保障制度の整備」を盛り込んでいる点は注目に値する。

川崎市は、この基本条例に基づき、ただちに川崎市居住支援制度を創設している。(制度の概要は次のとおり)

概要を見てわかるとおり、川崎市はこの支援制度にあまり深入りしていない。
つまり、市が民間賃貸住宅の斡旋や家賃補助、保証料の補助を行うものにはなっていない。 あくまでも、市が指定する家賃債務補償会社の利用を促進し、保証会社が立て替え費用を回収できない場合、保証会社へ保証履行額の二分の一を補助する仕組みになっている。

制度の利用実績は、17年間で延べ2491件となっており、ここ数年の家賃債務保証における保証会社の補助額は、年に10件(100万円)程度で推移している。
利用世帯の内訳は、高齢者が約8割を占め、また、生活保護受給者が約8割を占めている。

すでに17年の実績があることから、その中での変化についてもうかがった。
ひとつ目は、当初は連帯保証人が見つからない人のための支援が眼目だったが、居住継続や退去(死亡)などの支援に、より軸足が移ってきていること。
ふたつ目は、制度の周知や理解は、今でもまだ十分ではないという認識のもと、制度や支援サービスがあることを不動産屋(会社)に理解していただき、そのから大家さんを啓発する(口説く)努力を続けていること。(一方で、大家さんも近年は空き室(家)が増えてきており、意識も変わりつつある)
みっつ目は、市の住宅(都市)部局と福祉部局の連携が進んできているということ。住宅部局でいえば、箱は足りているのに何故入居できないという問題が残っているのかという課題意識から現場を調べたところ、例えば今いる地域に住みたい、ペットを一緒に暮らしたいといった個々人のニーズがあり、寄り添うには福祉窓口等と連携が不可欠というのが連携の背景。

次に川崎市居住支援協議会についてですが、
ほとんどの都道府県が居住支援協議会を立ち上げているが、市町村ではほとんど実績がないなか、川崎市は神奈川県をはじめとする各都道府県よりも踏み込んだ独自の協議会会則を定めており、「民間賃貸住宅の賃貸人からの物件提供促進のための環境整備に関する」事業を行うこととしている。

設立に当たっては、各団体へのヒヤリングを通じて、入居後の生活支援が整っていることが、家主側の不安の軽減に繋がり、住宅確保の上で重要である(住宅確保と入居後の支援生活を切り分けて考えることは難しい)ことがわかってきた。

取組の入口としては、入居を拒まない物件を増やす取り組みや効率的な物件探しの相談・支援体制の構築を目指すとともに、入居後の課題解決も含め多岐にわたる課題について協議するための専門部会を設置している。

実際のところ、協議会が機能するのは都道府県という広域組織ではなく基礎自治体であることと、国からの運営に対する助成が年間1000万円あることを考えると、岡山市としても積極的な取り組みを検討すべきであると思われる。尚、川崎市居住支援協議会の概要は月のとおり。

以上

竹之内則夫 平成29年5月11日(木)


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都市公園内への保育所設置に関する視察報告

4月20日~21日の2日間、標記の視察調査を行いました。概要は以下のとおりです。

目的

岡山市は待機児童が全国ワースト2位という状況である。保育園等の整備についても先進的に公園を利用して、特区で進めている自治体を視察するとともに、今国会に提出されえている特区制度の一般化についての法案の概要を調査する。

「都市公園内への保育所設置」

概要

「都市緑地法等の一部改正法案」が今国会に上程をされており、現在審議中である。この法案の背景には、国家戦略特区域における都市公園法の特例がなされ、東京都とはじめその他の都道府県及び一部の自治体で特例措置を実施している。具体的には都市公園内で保育所の設置ができるように特例措置を実施していることを、一般法化して改正をしようとしているものです。

これはまちづくりを進めるに当たって、公園、広場、緑地、農地等のオープンスペースを多面的な機能を発揮して有効に利用を促進していくこととしています。都市公園内での保育所の設置を可能にしたり、民間事業者による公共還元型収益施設(カフェ、レストラン)の設置管理制度の創設などができるようになります。

所感

特区制度で公園内に保育所を設置することをすすめていきたが、一般化法として全国で実施できるようになることで、どいのような課題があるのかを調査しようと考えた。公園内での敷地面積が3割を超えないものとすること。施設の床面積が延べ面積の5割を超えないとすることや美観をや風致等の機能を害しないなどの技術的基準も特区で問題がなかったので、政省令で踏襲する方向で考えているようだ。本市での公園内での設置について探っていきたい。

東京都における国家戦略特区の取組」
(1) 世田谷区における都市公園内の保育所設置特例の活用について

概要

世田谷区では人口が自然増でも増加をしており、就学前の児童数の推計を上方修正した。また、10年前に比べ幼稚園の入園児より保育所の入所児の方が上回った。8年間で保育所の申し込み数も2・3倍に伸びたことにより、今後も待機児童対策は必要となっている。平成27年から5年間で6900人の定員数の確保が必要となっている。

そのような中で保育所整備の手法として保育運営事業者「誘致型」整備と民有地活用による「提案型」整備を進めている。世田谷区では区有地はほぼなく、都、国有地の定期借地と民有地の整備を進めている。今回の特区制度の活用はそのような中公園を利用して保育所を設置したものである。その中で課題となったことが、公園内には水路や赤線などが混在してることがること。東京電力との契約で公園への電気の引き込みが1回線に限られていること。地下埋設物の問題、既存の祭りやイベントとの利用調整、近隣住民とのトラブル解消などが課題として挙げられた。

所感

世田谷区では特区の説明もさることながら、待機児童の保育所整備の話が興味を引いた。毎年1000人ぐらいの定員増をしても、なかなか解消していない状況とともに、どのようにして保育所を整備しているのかが、岡山市とは異次元での整備方針の取組であった。概要で述べた誘致と提案型の整備であるが、まずは公有地、民有地を探し、土地を借り上げ公募をかけ、選定業者に転貸や賃貸などする。特に民有地では土地と事業者を区に登録をしてもらい、保育所整備物件の情報収集からマッチング・事業提案・審査・整備と進めている。それを区の職員が不動産・開発業者並みの仕事をしている。本市では民間事業に丸投げで民有地であれば、民・民のこととして市の担当者がそれ以上入り込んではいかない。待機児童ワースト1位の世田谷と2位の岡山市とでは取り組み方が全く違っていたし、東京の土地物件事情の違いで、認識の違いも感じた。本市でもこれらのことを踏まえて取り組みの改善が一部必要と感じた。

国家戦略特区制度を活用した都立汐入公園内保育所の整備について

概要

荒川区の待機児童解消は10年間で2000人を超える定員の拡大を行ってきた。特に平成26年には待機児童が8人まで減少をしたが、「子育てしやすい区・荒川」「保育園に入り易い荒川区」との風評が広がり、平成27年に48人、28年に164人と増加をしていった。東京都23区の中で2番目に面積が小さい区であることもあり、保育園を整備する敷地がなく、特区を利用して公園内での整備を進めていった。特に都立汐入公園がある南千住地区は再開発によりファミリー世帯の流入が多く、保育需要が高いところである。

現地の虹の森保育園も視察を視察しました。園内は公園の景観の観点から鉄骨平屋建てにしており、その屋上をプレイグランドとしてゲートボル等に利用ができる人工芝で一般開放をしている。保育所施設内では地域子育て交流サロン専用室で保育園児以外の児童にも利用ができる部屋がある。また、「虹の森」と命名されている如く、明るく虹色を配した部屋や動物のモニュメントが配置されていた。

所感

汐入公園内の「虹の森」保育園は再開発の地区であり横には中高層住宅が建ち、大きな都立公園の中に建設をされていた。保育園であるのに駐車場は整備されておらず、公園の駐車場を利用するとのことだが、そもそも自転車で利用されている。近くには他の保育園もあり、東京での保育環境を実感した。公園内の整備は園庭が公園であり、特に汐入公園は芝生があり、恵まれた環境にあった。公園での保育所整備ということや屋上のプレイグランドを一般開放していることからセキュリティについても重要であることが分かった。

最後に荒川区では区立宮前公園にも公園内での保育園の整備を進めているが、ここではその周辺の老朽化した2つの保育園を順次建て替えるために公園内での保育所を活用している話も聞いた。現地での建て替えが困難な場合の手法として参考となった。

則武宣弘 平成29年4月20日(木)~21日(金)


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「次世代交通対策補助事業」について 4月21日視察報告

概要

輪島市も少子高齢・人口減少による課題の1つとして、財政難からの公共交通の利便性の低下があげられ、市民にとって深刻な悩みになっている。これに対して平成23年、輪島商工会議所が電動カートという新たなツールを用いた次世代型の交通システムの構築に動き始める。幾度にも亘る社会実験と様々な課題解決を経て、平成26年11月に全国初となる電動カートの公道走行が実施された。

これに対し輪島市役所交流対策部企画課では、平成27年度に「次世代交通対策事業エコカート車両購入事業」で300万円の予算を計上。エコカート2台分の購入に対して助成が行われている。

所感

現在は3コースで運行されており、内1つは公道での自動走行が行われ、それぞれ街の観光名所を巡りながら市内の主要施設に行くことができる。カートの速度は手動で20km/h、自動運転で6~10km/h。普通自動車運転免許があれば誰でも運転可能で、実際に試乗させていただいたが、体感速度には不満は感じられなかった。

輪島商工会議所の説明によると、元は会頭の発案から出発したものだそうで、その実現に向けた職員の努力は並大抵のものではなく、カートを公道で走行可能にするために、国土交通省と交渉を行い規制を緩和。各社会実験の時には難所を示す警察との粘り強い交渉にも当たっている。各停留所には手作りの看板も設置されており、材料も地元の企業から集め作成されている。カートについても公道使用にするために、各種ミラーやワイパー、ウインカー、バンパーが取り付けられていた。当初は日立製の電動カートを用いていたが、現在はヤマハ製で運行しており、ヤマハからも全面的なバックアップを受け、特別使用の開発が進んでいる。東京大学も協力を行い、新しい公共交通としての影響について研究が進められている。

しかしながら、このカートの利用料は無料であるため、運行が開始された現在においても財政的な課題が存在し、毎年財源確保のために観光・商店街支援・環境などの様々なメニューの補助金を探してはそれを充てて、取り組まれている状況だ。費用の多くは運転手の労務費だが、時には商工会議所の職員を充て運行するなど費用を抑える工夫を行っており、ここにも商工会議所の努力が感じられた。輪島市役所は、平成27年にエコカートの購入に対し300万円の補助金を用意して、イニシャルコスト面での支援を行っている。

試乗時、幾度も普通自動車と共に走行する場面に遭遇したが、自動車側から特段急ぎ攻め立てられることもなく、既に共存が進んでいるように感じられた。将来的には輪島市内の公共施設や医療施設、商店街などを結ぶ生活に根ざしたコースが計画されている。

現在、岡山市においても公共交通に対する課題は数多く存在し、なかでも各地域の足としての公共交通の存在は市民から強く望まれ始めている。輪島市の高齢化率は平成29年4月現在42.9%となっており、この事業も本来は地元の足として高齢者支援の目的で進められている。岡山市でも市内周辺地域では、高齢化が進んできており、新しい公共交通システムの構築が急がれている。現在、超小型電気自動車(EV)の無料貸出しやデマンド型乗合タクシー等の運行が始められている地域もあるが、それぞれの地域特性に合わせた手段を考える必要がある。そういった意味では、今回の輪島市の様な乗り手にも扱いやすく、電動による環境面も考慮され、更に自動運転も可能なシステムは、今後多くの地域で必要とされてくると考えるものである。

今回の視察を終え印象に残るのは、事業主体である輪島商工会議所の熱意と、そこから生まれる知恵と行動力であった。本市行政においても、地域の課題解決に向けた輪島商工会議所のような熱意と行動力による事業展開を期待したい。

 

平成29年4月21日(金)


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CCRC「ごちゃまぜのコミュニティづくり」について 4月20日視察報告

概要

社会福祉法人「佛子園」は石川県を中心に活動し、それぞれの地域に応じたコミュニティ支援を行い、現在全国で70事業を展開している。そのうちの1つが「Share金沢」であり「ごちゃまぜ」の言葉通り、多世代による共生のコミュニティづくりを行っているエリア型の日本版CCRCに近い取り組みである。

この「Share金沢」は、平成24年3月に開所され、

  1. 児童入所・短期入所
  2. 児童発達支援センター・放課後デイサービス・相談支援事業
  3. 就労継続支援A型・B型・就労移行支援
  4. 生活介護
  5. 高齢者デイサービス・訪問介護
  6. サービス付き高齢者向け住宅
  7. 学生住宅
  8. 放課後児童クラブ
といった事業が併せて行われている。

所感

Share金沢」は現在、日本版CCRCの代表例として全国から多くの視察が殺到している。今回もようやく念願叶って受け入れていただくことができた。粘り強く交渉にあたってくれた議会事務局職員に感謝したい。

日本版CCRCの代表例でよく挙げられているが、実際はより多世代共生が進んでおり、児童福祉、障がい者福祉、高齢者福祉が「ごちゃまぜ」で行われていた。説明者の奥村氏も「CCRC」と言われることには違和感があると言われていたとおり、高齢者支援のみに留まるものではなく、あくまでも出発は児童福祉であり、障がい者福祉も取り入れ、地域に開かれたまちづくり事業だった。

奥村氏は「地域のことを考えて進めること、地域住民のために何があれば人が集まるようになるのかを考えること」を、事業を進める上での重要なポイントとして挙げられた。 本市でも、平成28年度には「岡山市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に係る取り組みの1つとして、日本版CCRCの調査研究が進められ、2月には研究報告も行われた。

本市においても依然として移住先の高い人気を維持している今、CCRCについて取り組みの必要性、場所や手法など具体的に考えなければならない時期を迎えている。

最後に、多忙にも関わらず我々を受け入れて下さった奥村氏をはじめ、自らは黒子として「Share金沢」を支えている職員の皆様に敬意と感謝を表し、今回の貴重な視察で得たことを、岡山版CCRCの実現に向け活かして参りたい。

 

平成29年4月20日(木)


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