議会だより

2月議会個人質問

 大森市長のもと、地方中枢拠点都市として市政が大きく動き始めました。トップスピードで走りながら県や周辺市町を巻き込み、施策を打ち出しています。舌を巻くほど矢継ぎ早な政策判断が的確なのは、鳥の目、虫の目、魚の目を心掛けている賜物なのでしょう。

 さて、2月定例市議会では個人質問一人目の登壇でした(3月5日)。今回は、障がい者施策や社会福祉施策に絞って論戦を行いました。

1.障がい者自立支援の推進態勢と体制整備について

 岡山市の昨年3月末時点での障害のある方々の人数は、3障害合計で57,000人程度と思われます。これは総人口の約8%にあたります。(ただし精神障害者数は、国の身体と精神の比率での推計です)

  さて、改善すべき課題は大きくふたつあります。
ひとつは行政の組織体制です。
平成18年施行の障害者自立支援法により、法は身体・知的・精神の3障害を一元化しましたが、岡山市の組織は、身体・知的は障害福祉課、精神は保健管理課に分かれたままです。処理業務はこれでできるかも知れませんが、障害施策全体を統括する部署がないのですから、力強く自立支援を推進できるとは言いかねます。

  もうひとつの課題は現場力の強化です。役所の外にある自立支援のための機能は十分ではありません。

  行政が予防的に手を入れていくという積極姿勢をとらないと、解決が困難の度を増すだけでなく、結局、多くは生活保護に、あるいは近隣トラブルや触法事件に発展することもあります。

  就労に向けた自立支援の工程を見てみましょう。入口の相談支援と出口である就労支援、これには障害についての専門性と、企業とのリレーションが必要です。
計画相談支援は、平成24年度にはじまりました。障害のある方が、必要なサービスをより利用することができるように、アセスメントを通じてサービス利用計画を作成、また定期的なモニタリングを行います。
どちらも、就労に向けた自立支援に必要な機能です。
相談支援と就労支援は、現場の機能が不足しています。
例えば、ワンストップで総合的な機能を果たしている代表は障害者就業・生活支援センターです。確かに機能はちゃんとあります。けれど、ここは備前県民局圏域をフルカバーしなければなりません。要は、絶対数としてのキャパが足らないことが問題です。
また、出口はハローワークの役割ではありますが、岡山公共職業安定所の実績では、就労のほぼ半数はA型事業所で一般就労はなかなか進んでいません。一般就労に向け、職場開拓等の営業力を強化し、ハローワークを補完する機能が必要です。

  また、計画相談支援も同様です。今は猶予期間ですが、平成27年4月からは障害福祉サービスの全ての支給決定に先立ち計画相談をすることとなっています。障害児を除いても対象者は約7000人ですが、本市の現時点での計画相談支援事業者の年間キャパは1500人程度で、こちらも圧倒的に不足しています。

これらの相談、就労の足りない機能を質量ともに整備・促進する必要のが本市の役割です。
→ 大森市長から、障害に関する組織の一元化に向けて調整する旨、答弁がありました。

 

2.「障害者優先調達推進法」施行初年度の取り組みについて

 平成25年度に施行された障害者優先調達推進法に基づき、岡山市においても、障害者就労施設等からの「調達方針」を策定しましたが、少なくとも、岡山市の調達方針は優先調達推進法の精神を積極的に反映していません。それは岡山県をはじめ他都市のそれと比べるとはっきりわかります。
例えば、優先調達を推進するからには、期中での実績把握を踏まえて調達方針の評価・検証を行い、次年度の方針に反映するなど、成果を上げるためのサイクルが伴わねばなりません。岡山県では方針に盛り込んでいますし、厚生労働省からも同様の方向が示されています。しかし本市では、年度中には取りまとめをしない意向でしたし、全庁で一体となって推進するために、連絡会議を設置すると方針に示しながら、一度も会議を開催していませんでした。

→ 保健福祉局長から、次年度の調達方針に反映できるよう、今年度の調達状況の把握など、年度内に必要な取り組みをする等、前向きな答弁がありました。

3.軽自動車税の減免について

岡山市市税条例・第67条によれば、「公益のため直接専用する軽自動車等に課する軽自動車税を減免することができる」とされています。減免の対象は社会福祉法人や公益法人とのことです。
しかしながら、公益法人のうち特定非営利活動法人(以下、NPO法人)は歴史が浅いため、本市の条例、規則や内規等への位置付けが不明瞭になっているようで、この際、位置付けをはっきりしておくべきではないかと質しました。
また、行政では、条例や規則等をそれぞれの現場に適用するうえで、基準、規程、要綱、要領等がいわゆる内規として定められているのです(条例だけでは職員だってどうしていいか判らないということです)。であれば、市民はなおさらです。申請主義なのに、申請していいかどうかが判らない訳ですから、しっかりと情報公開をするよう求めました。

→ 財政局長から、NPO法人がおこなう、公益事業に使う車は、減免の対象との旨、答弁がありました。

具体的には、公益事業は第2種社会福祉事業等のことです。

担当: 竹之内則夫 2014年2月

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昇降機内臓バスの概要について 視察報告

視察内容

車いす客が乗り降りしやすい電動リフトを備えるなど、体の不自由な人に配慮したバス車両を、高速バスや観光バスに導入させようという動きが広まっている。路線バスの4割近くに低床化バスは普及したが、費用負担が重く、座席数が減るなどの理由から、観光バスなどでは3%台にとどまっている。国は購入補助金の支給などで普及を後押ししようとの考えがある。このような情報の中、広島県三原市に会社を持つ(有)メイプル交通が、このほど車両後部にエレベーターを設置し、車いすや足の不自由の方々を乗り降りできるバスの運転を始めたと聞いた。岡山市内においても都心創生まちづくり構想における観光客の増員にも力を注いでいる観点から視察を計画したもの。

 吉田社長から「路線バスは、低床化が進んでいるが、観光バスとなるとバリアフリー化は進んでいない。車いすや足が不自由な方でも乗り降りがしやすいバスは作れないかと開発してきました。既存のバスを改良する方向で考えた場合、エンジンの位置や座席数を少しでも確保しようとなると、今回メイプルが開発した車両後部昇降型(エレベーター)方式がベストと考えている。」と説明があった

  当方より、リフト型でなくエレベーター型にした理由を尋ねると、「リフトはそもそも人を運ぶ仕組みではない。介護などの福祉車両は、車高が低いからできる。観光バスとなると座席位置がある高さ(1m50㎝以上)まで上げないといけないため、リフト方式では安全が確保しにくい。」と回答を得た。 また、昇降機内臓バスの利用度や利用者の声を伺ったところ、「問い合わせは福祉施設関係者から数多くある。この間も広島の福祉施設から京都まで観光依頼があり対応した。流動食しか取れない方も含め車いすの方が5名ほどありましたが、問題なく対応することができました。参加された方もバスでみんなと一緒に観光地近くまで行くことができた。公共交通を利用した場合とくらべると介助する方も楽でしたと、喜んでいただけた。」と話があった。

今後の事業展開を尋ねたところ、「昇降機内臓バスは、既存の観光バスを改良するだけで、座席数の確保や多数の車いすの人を対応することができるので、新規にバス一台購入する必要はない。観光バスや高速バスを所有しているバス会社にアピールし普及していきたい。メイプルが昇降機内臓バスとして販売する考はないが、昇降機はメイプルの特許として申請している。」と回答された。
これらの話を聞き、岡山市における街づくりや観光地の開発の観点からも大いに参考となった。


担当: 福吉智徳 平成26年1月30日(木)

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11月議会個人質問

 大森市長就任後、初となる本格的な論戦が行われました。「子育て」・「子育ち」に絞った私の個人質問の概略を以下お知らせいたします。

◆岡山市の活力と未来のための最優先施策

保育園に空きがないという理由で、岡山市でも多くの女性が仕事を辞め、そして同様の理由で出産後の復職や再就職を諦めています。
今や結婚や出産は女性の一生にとって大きな負担やリスクの側面を持ち、それは未婚化や少子化という社会的課題として表出しています。
従って保育ニーズの充足は、女性への支援にとどまらず、岡山市の活力と未来のための最重点施策としなければなりません。

◆あとどれだけ保育を充実すれば良いか。

岡山市が行ったアンケート調査や総務省統計局「労働力調査」のデータから、今より4500人分の受け皿整備が必要です(データ処理は私が行いました)。

◆整備にはスピードが求められています。

岡山市は公立園が多いという特異なまちです。そこで単に保育定数を増やすだけではなく、今後の財政上の負担や、幼稚園の空き教室といった無駄をより抜本的に見直すため、かなり壮大な改革を行う考えです。方向は私も支持していますが、今の手順では小回りが利かずスピードが求められている「保育ニーズ」に応えられません。団塊ジュニアの子どもたちの多くが小学校に上がってしまうのは遠い先の話ではありません。早急な解決策こそが必要なのです。

◆既存の施設と仕組みを活用すべき。

本市特有の資産である公立幼稚園に着目し、「3歳児教育」と「預かり保育」を最優先施策とするよう市長に提案しました。以下がその理由です。
(1)市民ニーズはどうでしょうか?
岡山市の調査をはじめニーズは明白です。例えば市内の公立幼稚園のPTAが保護者を対象に行った調査によると、8割以上が「3歳児教育」を、7割以上が「預かり保育」を希望されています。
(2)他の自治体はどうでしょうか?
人口が少ない政令市・10市を調査しましたところ、表のように、幼稚園・保育園を合わせた3歳児の就園率が、本市だけ極端に低くなっています。公立幼稚園が70園、「3歳児教育」を行っていない園が52園と、どちらも飛び抜けて多いからです。
仮に全ての公立幼稚園が「3歳児教育」を実施したらどうなるのでしょう。私の試算では、低めに見積もっても、就園児は今よりも1200人以上増えます。
さらに、「預かり保育」を実施するとどうかを試算したところ、就労している親の子どもたち700人以上が「預かり保育」を利用することとなります。これは、幼稚園に、700人の保育機能が増えることを意味します。
(3)幼児教育の現場にもメリット。
市が計画している子ども園への移行に際して、多くの幼稚園教諭の心配のひとつは4歳以上しか経験がない、3歳児や保育は未体験だということです。「3歳児教育」「預かり保育」は子ども園への移行に向けた試行の役割にも最適です。

◆本市はどう考えているのでしょうか?

公立幼稚園の「3歳児教育」・「預かり保育」は、「どちらもニーズが高い」「市民ニーズに対応できていない」「今後、子育て支援の観点から検討していく必要がある」、というのが岡山市の現状認識です。
しかしながら、私立幼稚園・保育園との関係などから「実現は困難」であるとしています。
市民ニーズが高くても民業を圧迫することはできないというのが岡山市のスタンスです。

◇◇大森市長の視点と判断◇◇

市長は少子高齢・人口減少という社会の変化を見定めながら中長期の視点をベースに今の施策を判断しようと考えているようです。極めて妥当な手法です。
しかし、「将来、子どもの数が減るのに、今よりも『官』が受け皿を増やすのは民業圧迫につながる」との判断を示されたことについては、「今」への配慮を欠いており、適切ではなかったと感じます。

◆◆実現へのポイント(私の主張)◆◆

一番の難点は「市民ニーズが優先されていない」ということです。誰のための市政でしょうか。
次に、子育ての社会化という今日的課題の優先順位(扱い)が低いままだということです。都市の発展の勘所を外してはなりません(評価基準はスピードです)。
(1)市民ニーズと事業者配慮の狭間。
どの政策でも利害関係者の納得を得る努力は必要です。誰の目線で判断すべきかを指摘している好事例を紹介します。
消費税の軽減税率導入で、与党税制改正大綱に「税率10%時に導入する」と盛り込んだことに対して毎日新聞(12月13日)は、「事業者の反対に耳を傾けることは必要だが、実際に税金を負担する立場の消費者は多くが軽減税率導入を求めていることを忘れてはならない」と、「10%に引き上げた時点で、同時に軽減税率を導入するのが当然だ」と述べています。
(2)印象ではなく的確なデータと分析を。
私は「ニーズがある以上、民業圧迫にはならない」と申し上げました。ニーズは4500人、対する受け皿増は700人分、心配は要りません。
長い目で見れば、確かに岡山市の年少人口は30年間で20%弱減少します(ただし、縮小幅は全政令市中もっとも少ないと予測されています。岡山市は今も将来も若いまちなのです)。
一方、私の推計では、今よりも11%の需要拡大が見込まれます(恐らく労働人口の減少で女性の就業率はさらに高くなるでしょうが)。差し引きすると、中長期で生じる差額は9%未満です。これは、推移に応じて公立が段階的に縮小してマイナスを吸収することで解決できます(本市は私立園にそう説明しています)。
事業者の不安を解消するのは客観的なデータです。

◆そして、日本や世界の知見はどうでしょうか?

近年、コミュニケーション能力の低下、キレる子など子どもたちの心身の育ちが阻害されています。
日本学術会議は「授乳期を終えるころ以降、子どもは仲間と群れて遊ぶうちに仲間との関わり方等を学ぶとともに、運動能力のような基礎的な力を身につけてゆく。現代の子ども達は群れて遊ぶ機会を失っており、群れて社会性を育む場の再構築が早急に求められる。」としています。

他にも、早く保育園・幼稚園に就園することで教育的効果が高まるとの調査(文部科学省)報告や、ユニセフなど脳科学分野の資料を今回提示しました。
幼児期に脳の発達が臨界期(その時期を過ぎると学習が成立しなくなる限界の時期)を迎え、今では子どもたちは学校園でしか集団を形成できなくなっている以上、幼稚園・保育園の充実に、次世代への責任として取り組まなければならないというのが私の決意です。

担当: 竹之内則夫 2013年12月

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盛岡市の東日本大震災からの復興推進の取り組みについて 視察報告

(1)盛岡市総務部危機管理課 東日本大震災復興推進・放射能対策本部復興推進部事務局 森田晋課長補佐(事務局副主幹)からの聞き取り調査

  1. 盛岡市の被害状況  
    沿岸部の被害に比べると人的被害(32人死亡)は少なかったが、停電 断水の被害が大きかった。停電は3月11日に市内全域で停電となり、3月14日にほぼ復旧したが、停電で暖房が使えないことが大きな障害となりました。断水は3月11日に4,767世帯に及びましたが3月14日には解消しました。
  2. 避難者数 
    平成25年9月11日現在、709世帯(県内市町村・584世帯 県外・125世帯)1,466人(県内市町村・693人、県外・162人)となっています。
  3. 盛岡市復興推進の取り組み方針
    世界全体が幸福にならないうちは個人の幸福は」あり得ない(宮沢賢治著「農民芸術概論綱要」より)という思想が盛岡市民の底辺に流れているのでしょう。被災地の復興・発展なくして、盛岡市(民)の発展なしととらえて被災地支援を行っていくとしています。多くの都市機能が集積し、北東北の交流拠点としての役割を担ってきた優位性を活かすとともに、県都としてのリーダーシップを発揮して、盛岡市としてなすこと、なしうることを国・県の支援と整合性を取り効果的に実行するとしています。取り組み方針は今年度末を持って終了するので、平成26年度以降の策定を進めています。
  4. 主な復興推進事業として以下の取り組みを行っています。
    ① もりおか復興支援センター
    ② 盛岡市かわいキャンプ
    ③ もりおか復興サポートオフィス
    ④ 岩手もりおか復興ステーション
    ⑤ もりおか復興推進ハート村事業
    ⑥ 復興推進広報事業
    ⑦ 追悼イベント(東日本大震災周年行事事業)
  5. 復興推進の課題
    記憶の風化、沿岸へ帰還されるかたへの支援(地元では戻ってきてほしい思いがあるがアンケート調査では約半数が盛岡市への定住を希望、複雑な気持ちではありますとのこと)

(2)もりおか復興サポートオフィス

一般社団法人 東日本絆コーディネーションセンター 佐々木正光室長から説明を受けました。

  1. 事業目的  
    東日本大震災の復興に伴って、来盛する沿岸自治体職員・支援団体の方が補助金の申請等、書類の不備で地元に帰って書類を作成し再び来盛する実態を解消するために作業するスペースを提供すことによって、片道2時間の時間のロスを短縮し復興に関わるスピードアップを図るために設置しました。
    併せて復興に関する資料の収集、テレワークの技能を就労に結び付けるためのコーディネート事業を行っています。
  2. 施設の概要
    平成24年5月18日に開設しました。事業を受託したのは、一般社団法人 東日本コーディネーションセンターで、緊急雇用創出事業を活用し4人を新規採用しています。
  3. 事業内容
    主な事業目的は、復興に関わる補助金・助成金の申請に来る自治体・支援団体に対するセカンドオフィスの提供というものです。沿岸地域から2時間かけて申請に来ても、不備があるとまた戻らないといけなかった不便を解消することができるようになりました。
    他には震災関連情報の収集と発信を行っています。メールマガジンの発行、新聞要約の発信、ホームページでの発信、また各種相談事業も行っています。さらに震災関連書籍の収集と公開を実施しています。行政だけではなかなかそろえられない種類のものも取集しています。今後はテレワークを活用した沿岸被災地での在宅就業支援に力を入れていきたいと思っています。当初は自治体やNPO等支援団体向けの性格が濃かったが、一般向けのメルマガの発行もしています。

(3)もりおか復興支援センター

もりおか復興支援センター  細田玲副センター長から説明をいただく。

県内各市町村や他県からの避難者にきめ細かな支援活動を行う施設として、平成23年7月11日に開設しました。市の復興推進事業のトップに位置づけられています。

 一般社団法人SAVE IWATE が業務委託を受け、センター長1名、副センター長1名、スタッフ12名で運営しています。

 利用実績は平成25年10月16日現在の累計で、来館者・45,494人、窓口相談・1,286件、電話相談・425人、物資支援・11,126件、戸別訪問・7,721件となっています。

 戸別訪問は平成23年8月より面接聞き取りを行っています。生活についての不安、住民票の移動、就職のこと、健康のこと、子どもの進路等必要な方にはそれぞれ行政サービスの窓口につないでいます。聞き取り調査 693世帯 1415人、未接触6名で、盛岡市から個人情報を共有し行っています。個人情報保護のことも考慮すべきですが、避難者の年齢や世帯の状況を把握することは必要なことであり、支援状況を把握するのに有効であると考えています。

  訪問基準は要支援、定期訪問、通常、訪問不要、一般生活者の5種に区分され、支援内容は食糧支援、外出困難、求職者、心理的な支援となっています。 センターのイベントとして、お茶っこ飲み会、紡ぎサロン、コンサート、折り紙サロン、学習サロン、囲碁クラブ、FP・行政書士による個別相談会があります。孤立しないように寄り添った支援を行っています。

【所感】

 盛岡市は内陸部なので震災、津波の影響は大きくはありませんでした。沿岸地消村から避難してこられた方々の支援に、市の予算や、国や県からの補助金があるとはいえ、税金を投入することに市民の反発はなかったのかとお聞きしたところ、宮沢賢治のことを真っ先に述べられました。郷土の偉人の生き方、思想が深く岩手県民、盛岡市民に定着していることをうかがわせるものでした。ことさらそれを前面に打ち出して復興支援、まちづくりに活かしていこうということではないかもしれませんが、そこに生きる、生きていくための知恵、歴史の重みを感じた視察でした。

 今回説明をしていただいた3人の男性職員の息のあったやり取りを見て、復興支援という非常事態だからか、いやそうとは思えない息の合った連係プレイの見事さと役割分担、どうしたら支援につながるかという創意工夫など、学ぶべき視点はたくさんありました。残念ながら岡山市の防災計画の中に復興という視点はほとんど入っていないこと、南海トラフ地震がいつ起きてもおかしくない状況下を考えると、盛岡市の取り組みを参考に非常時に備えておくべき視点と施策を岡山市に活かしていこうと思いました。


担当: 中原淑子 平成25年10月25日

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公共施設マネジメント調査特別委員会 視察報告

 当選以来、施設管理から脱皮し資産経営を行うよう何度となく議会で提案してまいりましたが、いくつかの改善を別にすれば、岡山市は現在も施設情報の一元化に手間取っており、その先の行程も明らかではありません。

  こうした課題を突破すべく、議会ではこの5月、新たに公共施設マネジメント調査特別委員会が設置されました。その一員として、8月6日~8日の3日間、名古屋、浜松、新潟を視察させていただきました。
以下、3市のベンチマーキングです。

○類似性

 客観状況から見て、岡山市に近い(最も参考になる)のは新潟市。

○調査対象

 各市に共通しているのは公共施設の調査対象に学校園、市営住宅を含んでいること(岡山市は調査から外している)

  • 名古屋市では延床で約1/2が市営住宅、1/4が学校園
  • いずれの都市も学校が改革(あるいは統廃合)のメインターゲット

○調査項目

 維持管理(長寿命化)だけでなく、統廃合を視野に入れている。

  • 改革(統廃合)に不要な項目の削除、スピーディな調査
  • 施設のソフト面を項目に追加(利用度、交通アクセスなど)

○庁内体制

  • 全庁を動かせる強力な体制を敷いている。
  • 職員の意識改革がカギになることへの対応がなされている。
  • 従来のタテ割りからの脱却の必要性が認識されている。

○各論対策

  • 市内のエリア別データについては、利用度や利用者の属性など、冷静に比較できる理論武装に心を砕いている。
  • 地元での選択の余地など、一定の取引材料を用意している(市民参加)。
  • 白書を作成してきた先例市が、市民の反発を恐れて白書の開示(情報公開)を取りやめてきた事例を他山の石とし、トップ以下、不退転の決意を貫いている。

9月議会でしっかり議論してまいります。

担当: 竹之内則夫 2013年8月

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6月議会個人質問

 2期目の折り返しに当たり、経済委員会委員長を務めさせていただくこととなりました。微力ではございますが、5年目を迎えた政令市・岡山の発展に全力で取り組んでまいります。
さて6月定例市議会では、「持続可能な行政」という視点で課題を質しました。

◆国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、2025年の本市の人口は2010年と較べて、15年間に2%減少しますが、75歳以上の高齢者は逆に50%増加します。
この急激な変化は、当然、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼすことになります。

◆直面する最大の課題のひとつは介護です。
75歳以上人口に占める要介護者の割合は年々増えており4割に迫る勢いです。そして、要介護者の割合が今より増加しないという算式で試算した場合でも、2025年には要介護者は75歳以上だけで1万5千人以上増え4万人を軽く超えてしまいます。要介護者が増えれば、その分、介護従事者も必要になります。

  在宅では独居や老夫婦世帯が増加し、家族介護者不足が一層深刻です(2025年には不在率7割とも言われています)。

  また施設は現在でも不足が顕在化しており、5割増への対応は人材の確保と併せ計画的に行う必要があり、今の抑制的な政策では追いつきません。急増する高齢者へのサービス提供体制をどうつくるかが喫緊の課題です。

◆もうひとつの課題は、高齢者人口の急増に伴う財政負担の増加にどう対応するかです。まず、高齢者人口の急増と財政負担の増加の相関関係をみておきます。

  これは、あくまでも便宜的に算出した参考値ですが、75歳以上の高齢者や要介護者が1人増えるごとに、30万円、あるいは50万円以上の歳出が増え、しかもその額が毎年増加していることを示しています。そして、2025年には、1人当たりの支出増加を見込まない場合でさえ(つまりどんなに少なく見積もっても)、2010年に比べ、75歳以上の主な医療・介護費だけで85億円から121億円ほどの増加となります。

◆一方、税収面では、生産年齢人口が7%減であれば、本市の歳入はかなり厳しい数値になると思われます。

  これらは私の手にできる限られたデータでの試算に過ぎませんが、今の行政は、漠然としたリスクに経験値だけで立ち向かおうとしているように映ります。未来のリスクを明らかに示し、全庁で共有しないと責任ある対策は打てないと質しました。

  しかし残念ながら(手厳しく言えば)誰も2025年の姿を具体的に示せないのが今の岡山市です。本来必要な備えが足りないということへの認識が足りないことほどの不幸はありません。

  逆説的に言えば、庁内で認識を共有するためにも2025年の姿を共有する必要があるのです。
その上で、対策を示しました。

◆ひとつ目は、生産年齢人口を誘致するためのサービスの充実と都市ブランドを上げる戦略です。

  私たちが行ってきたまちづくり調査では、市民の約半数は岡山市で生まれ育っていない方々でした。一方、ほぼ同数の岡山で生まれ育った方々が転出されていると推測されます。従って、持続可能性の最大の要件とは、これからまちを担う世代を引き付けることに他なりません。

  そこで、充実すべきサービスですが、私が議員活動で多く声をいただく最も切実なサービスは保育の充実であり、関心の高いサービスは子ども医療費の充実です。他都市と比較してしょっちゅう指摘を受けます。

  持続可能なまちづくりとは都市間競合を制することでもあります。
そのためには、都市ブランドを上げる戦略を、つまり「売り」を明確にし、実現することです。
結論から言うと『いつでも保育園に入れます』、これを本市の「売り」とすべきです。
安心して子どもを産み育てる、裏返せば安心して仕事を続けられる都市を標榜、宣言すべきです。

◆また、都市に人が移り住むのはそこに仕事があるからです。若い世代を誘引する施策や産業の活性化施策にも戦略的位置付けが必要です。

◇で、どういう答弁が返ってきたかと言いますと、課題ごとにそれぞれの局が取り組むという趣旨でした。これはタテ割りの成せるところです。各局が頑張るのは一見いいことですが、そこには優劣(戦略)というものがありません。局は他局を統括できないのです。役所とはそういう文化なのです。戦略を立て、全庁を統括する権限を持った部署(企業でいえば社長直結の戦略室でしょうか)があるべきですが、結局閉じられた組織では難しいのでしょうか、市長が外から丸ごと持ってこないと無理なのかも知れません。

 

◆もうひとつは予防施策に光を当てることです(介護認定を受ける前に、です)。

  健康づくりというと、とかく個人の努力の問題とみなされやすい現実がありますが、例えば、メタボも糖尿病も要介護者も、実は低所得者や社会的孤立者に多いのです。この事実を見逃してきた、あるいは無視してきたために、これまでの生活習慣病対策は成果につながらなかったと指摘しました。健康の多くは社会環境で決まる。つまり、所得により医療アクセスに格差がある。社会的ネットワークが多い人ほど、長生きで、要介護になりにくいなど、その人が置かれた社会的に不利益な状況により、不健康となってしまうという健康格差が生じているのです。

◆そこでまずは、本市がすでに保有している保険や税に関するデータを活用し、健康状態が地域の中でどのように分布しているのかを把握する必要があります。健康格差を社会経済格差や地域格差の視点で把握し、政策が最重要ターゲットとすべき人々を見つけ出さなければ、次の一手が見えてこないからです。

◆次に、社会的ネットワークを育成することで、運動機能低下、認知症、低栄養、うつ、閉じこもり、口腔機能低下のリスクを回避できる、すなわち介護予防につながることを思う時、健康・介護対策として、コミュニティのなかで人と人とがつながる仕組みを再構築することが重要になります。まちづくりが健康対策そのものなのです。

◇データ解析は個人情報を言い訳にして活用が進みそうにありませんし、孤立化が進む社会にあって、社会が家族の役割を果たすにはどのような仕組みや仕掛けを変えるのかにも言及がありませんでした。(あまりの消極姿勢に怒り心頭でしたが、引き続き場外で推進に挑みます。)

 

◆シンクタンクが要ります。

結局足りないのは踏み込んだ現状分析と将来予測の両方です。2025年までの都市ビジョンを的にして進もうとしているのが今の岡山市ですが、そのマスタープランの基になったデータ分析が甘かったと気づくべきなのです。まもなくとりかかる後期計画の前に、この2つをきちんとやれる体制(組織づくり)からスタートすべきだと申し上げました。

他にも以下の項目を質しました。

●マイナンバー法案成立を受けて
  1. 市民サービスと行革
  2. 体制づくりと人材
●胃がん対策~ピロリ菌除菌について
~慢性胃炎への健康保険適用を受けて~
  1. 内視鏡
  2. ピロリ菌の感染確認
  3. がん教育の推進
●障がい者就労支援の推進体制について

~障害者総合支援法、障害者優先調達推進法の施行を受けて~

●犬島の振興について

~改正離島振興法の施行を受けて~

  1. 産業や観光の振興における現状と課題
  2. 高齢者等の福祉における現状と課題

担当: 竹之内則夫 2013年6月

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地方議員のための政策力アップ講座 報告書

<目的>

教育委員会に求められる機能とは何かー改革論をめぐる期待と警戒を議論するー講座へ参加のため

<概要・所感>

この講義を受けて感じたのは、改革と一言に言ってもかなりハードルが高いと感じる。

首長と教育委員会の職務権限のあり方、学校現場の生徒、先生、PTA等地域の人たちが抱える問題意識について、どの部署へ言っていいのか分からないし、現状では言っていく部署がないなど、問題が山積みである。まして、私立学校に関することについては知事は権限がなく、首長のみ補助金助成に対する権限のみが存在し、教育課程については口出しが出来ない状況である。

朝鮮人学校の問題などもこれに当てはまるものである。

様々な機構の問題はあるとしても、教育現場が一番大切な場所であり、子供たちの問題を中心に議論が行われることを今後の改革の中で期待すべきものとして考える。

学校(教員)の教育委員会への帰属意識の希薄さや、市町村教委との連絡相談体制の不徹底、また適正な人事評価者の不存在(何千人の人事評価は一人では出来るわけがない)など、地方教育行政の権限と責任の明確化が求められるが問題は山積している。

担当: 松田安義 5月30日(木)

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4月23日(火)・24日(水) セミナー参加報告

 4月23日、PHP研究所東京本部2階ホールで開催された、地方議員のための政策力アップ講座「公共施設管理の最適化に向けて」を受講しました。概要は以下のとおりです。

テーマは進まない保全・再配置をどう進めるか


1)「白書」制作までの課題

  • 近代以降、成長型の社会では効率的なタテ割りで組織が運営されてきたが、低成長時代になっても行政組織にはタテ割りの既得権が残ったままである。従って、施設の情報を一元化(固定資産台帳)するには大きなエネルギーが要ることになる(時間もコストもかかる)。
  • 施設の情報を一元化とは統一した固定資産台帳を作るということだが、款項目も予算決算もばらばらなので、一元化できているのは200自治体くらい。
  • ポイントは、(1)白書にお金と時間をかけすぎないこと(総務省の簡易ソフトで㎡35万円試算をすればおおよその実態がわかる)。(2)いつできて、面積がいくらで、減価償却額、残存価値がいくらでというのが判ればよい(固定資産台帳)。

2)「白書」以後の課題(一向に進まない)

  • 白書は実態(データ)を示すが、施策の優先順位を示してはいない。
  • 総論賛成、各論反対で改革は進まない。
    (1)日本では縮減型の再編成、統合再配置(施設を縮小しながら充実していく)はやったことがない。箱モノを建てインフラを充実するという思想以外にはない。
    (2)地域住民は統廃合を嫌がる。タテ割りの組織で住民の要望を聞くと、市全体では拡張計画になる。
    (3)縮小という意見は議会からも出ない。
  • ここを突破していくにはどうすればよいか。
    (1)白書を台帳(資産把握)や情報開示のツールに終わらせないで、公共施設再編の基本計画を盛り込む。つまり、総論の段階で各論(手順)についての理解をとりつけることで、実効性の高い方針(基本計画)が策定可能になる。
    (2)狙いをつけたモデル事業で検証しながら進める。
    (3)単にコスト削減をするのではなく、節約した分を投資に回すというプロジェクト管理をすることで反発を和らげる。

3)行財政改革

  • 施設から機能へ発想転換
    公共施設は貸室機能がほとんど。しかも稼時間は非常に少ない。再編成が重要。
    公共施設の価値は利用価値(利用率、稼働率が高い=価値が高い)。
  • 「行政財産」から「普通財産=市民財産」へ
    行政財産は→行政目的→部局の管理→タテ割り、と進む。固定化され変化への対応ができない。
  • 指定管理者制度はもっと活用できる。
    施設の利用目的をはっきりさせる。
    契約期間と競争原理は反比例するとは限らない。
    修繕費を含め指定管理料以外のコストが上がっていく傾向にある。(要調査)

岡山市における公民館等の統廃合・再編問題、あるいは幼保一体化に向けた統廃合・民営化問題など、個別の事例において本市は苦しんでいる現状にある。また老朽化対策は新築移転とニア・イコールという現状にもある。財政的制約の中で持続可能性を考えれば当然行革からスタートする以外にない以上、総論が実現可能な手順を過たず進める上で参考となる講演だった。

4月24日、クラブハウス会議室赤坂で開催されたセミナー、「法案成立間近!マイナンバーがやってくる」を受講しました。概要は以下のとおりです。

岡山市は現在、国保年金システム、市税システム、いくつもの福祉システム、住民記録システムなどを順次更新する一方、個々のシステムを統合する共通基盤システムを開発中ですが、同様の工程をたどりながら、番号制度導入に向けた下準備を行われている事例として、町田市の取り組み事例を総務部情報システム担当部長の坂下知司氏から学びました。

町田市では新庁舎への移転に伴い、業務システムも移行することが求められ、さらに、2006年から導入してきたオープン系システムがライフサイクルを終え、更改に向けた対応を迫られていました。
そこで、安全かつ速やかな移転を第一義としつつ、移転を機に情報システムの刷新を図ることを決定。移転に伴うリスクを最小限に減らしつつ、これまでの個別最適から全体最適に大きく転換。膨大な数のサーバ機器の集約を図り、運用コストを削減できる環境を整備してきました。
移転に伴うさまざまな課題を解決する手法として町田市が選択したのは、新たに統合システム基盤を構築し、そのもとで仮想化技術を用いて各種業務システムのサーバ群を集約、CPUやメモリなどのハードウェアリソースを負荷に応じて柔軟に利用できる統合サーバ環境を導入することでした。

1.町田市に於ける情報システム刷新 ~2012年新庁舎移転を機に~

■システム構成要素の密結合から疎結合へ
 ・地域情報プラットホームを介した業務システム間連携= 業務ユニット間疎結合に
 ・仮想化技術を使ったサーバ統合(庁内・庁外クラウド) = 業務ユニットとサーバ間疎結合に
 ・シンクライアント化= 業務ユニットと端末・ネットワーク間疎結合に
■結果的に
 ・庁内・庁外クラウドを使った多拠点運営= ディザスタ対策・節電対策
 ・プライベート/コミュニティ/パブリックなど各種クラウドの活用= 運用負荷の軽減
 ・3年間で既存システムコスト半減、新たなシステムは削減分で構築= 経費削減

○情報システム刷新と経費削減の同時実現の勘所をうかがいました。

  • 市民感覚・・・なぜ同じシステムを使い続けないのか?と思っている。だから一時的にも追加予算(イニシャル導入を仕方ないと言わない)を求めなかった。
  • 情報システムの全貌(全体予算)を捉えた。(役所はタテ割りの部門ごとになっていて全体把握が難しい)
  • 全庁のシステムを統合の対象とした。
    各システムの更新時期を捉える。既存業務システムの利用期間延長。
  • データ構造を標準に合わせた。
    マイナンバー実施までは時間があるとの思いは禁物。一斉構造変更はコストが膨らむ上、大混乱する。
  • 例外を掌握する。
    住基ネットのように共通基盤の外にあるものはある。例外こそ確実に記録する。
  • 計測(モニタリング)できる仕組みの組み込み。

2.自治体クラウドへの移行の阻害要因と、その排除策

■積重ねた規則・制度・手順・ノウハウ・慣れ

改革風土作り、長期計画立案
最重要だが時間が掛かる


■経費
・既存システムのリース残(1-5年分)
・新システムの構築費/データ移行/教育・訓練
・移行期間(3年程度) 新旧システム併行稼動

現行でまず削減;簡素化
目途をつけ、本格取組み着手


■人材不足
・既存システム運用・改善に忙殺
・情報化全域を鳥瞰する人材の払底

現行システムの簡素化
人事交流、相互支援、民間人活用、切磋琢磨

■硬直化したシステム(構成要素の密結合)
・業務ユニットとサーバ等コンピュータ
・端末とネットワーク
・業務ユニット間

サーバ統合、仮想化
シンクラ化、業務ユニット見直し
地域情報PFに準拠した連携

 

○自治体が環境変化に対応できる仕組みをうかがいました。

(1)自治体クラウドに参加する・・・小さい自治体向け

  • 複数自治体による共同運営(北海道西胆振、神奈川県町村組合など)
  • ベンダー提供のクラウドサービス利用(奈良県宇陀市、広島県三次市など)

(2)情報システムの構造を整理整頓(簡素化・近代化)する・・・大きい自治体向け
  具体的には、

  • システム基盤の共同利用(全業務システムを対象)
  • 業務システム間連携基盤(地域情報PF準拠)の共同利用

◆(1)、(2)いずれもナケは掛からない、むしろ節約できる。(共同利用はワリカン)
◆マイナンバー法対応には地域情報PF準拠が前提とされている。

3.マーナンバー法の趣旨

業脊事務の処理において、個人又は法人その他の団体に関する情報の管理を一層効率化するとともに、当該事務の対象となる者を特定する簡素な手続きを設けることによって、行政運営の効率化及び国民の利便性の向上に資すること。

平たく言えば、

  • 行政機関は、国民から既に聞いた同じ内容を何度も聞くな!
  • 利用者の了解を得たうえで、その情報を持っているところに電子的に問い合わせろ!
  • 何度も役所に呼び出すな!

というところです。

圧倒的な市民サービスと行財政改革が期待できる。

まずは岡山市の情報システム担当に、町田に行って情報交換をしていただきたい(あるいは学んできていただきたい)と伝えました。


担当: 竹之内則夫 2013年4月25日

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4月12日(金)横浜市視察報告

 横浜市の「市民参加の仕組み」と「町内会のあり方」について視察させていただきました(横浜市役所にて)。概要は以下のとおりです。






1.横浜市市民協働条例を学ぶ

 議員提案で作ったこの条例は岡山市にとって、その成り立ちがとても参考になります。それが端的に出ているのが、以下の特徴とポイントですのでそのまま引用します。

1)条例案の特徴
 【1】横浜コードに基づく条例

  • 横浜市は、平成11年に民間有識者による「横浜市における市民活動との協働に関する基本方針(横浜コード)」を制定しました。
  • 当時この「横浜コード」は市民協働についての先進的な取組みとして高く評価され、多くの自治体に影響を及ぼしました。
  • 横浜市は、この「横浜コード」を受けて平成12年に「横浜市市民活動推進条例」を制定しましたが、この条例は市民協働のうち、市民団体への補助金支出や公共施設の優先利用を中心とした規定にとどまりました。
  • 平成14年の「協働のあり方研究会」や平成16年の意見具申「横浜市における今後の協働のあり方について」を経て、同年「協働推進の基本指針」が策定されました。
  • しかし、この「協働推進の基本指針」は行政の取組みの方向性を示したものであり、「横浜コード」が掲げる対等・自主・自立・相互理解・目的共有・公開という協働の基本原則に基づいて、市民協働を展開することを保障するものではありませんでした。
  • そのため、市との協働事業を行っている事業者からは、制度上の様々な不備を指摘され(※1)、また、横浜市が市民・民間団体・民間事業者と行っている事業が市民協働であるか否かも不明確な状態(※2)です。
  • そこで、「横浜コード」の基本原則を前提に、横浜における市民協働のあり方を条例で定めることにより、市民と行政の義務と権利を明確化する必要があります。

 ※1 「市民協働の定義が不明確である」・「契約が市民協働の原則に基づいていない」・
     「行政の役割分担が不明確である」・「行政主導で対等ではない」など。
 ※2 共創事業が市民協働事業に含まれていない。

 【2】横浜市市民活動推進条例の全部改正

  • 現行条例の中で、市民協働という考えに基づいて制定されているものは横浜市市民活動推進条例ですが、この条例に基づかない既存の市民協働事業は多く存在します。
  • そこで、横浜における市民協働のあり方を体系的に条例で制定するために、現行の横浜市市民活動推進条例の趣旨を生かしつつ、この条例の全部を改正する方法といたします

2)条例案の主なポイント
 【1】「市民協働」を定義付け

  • 現行の条例では、「市民協働」についての定義がありません。そのため、行政内部や民間でも「市民協働」の意識が薄いものとなっています。
  • そこで、今回の条例では、「市民協働」の定義を定めました。また、現行の条例で定義されている「市民活動」の意義を正しく表現するため「市民公益活動」とし、新たに定義した「市民協働事業」とともに、「市民協働」の一形態としました。

 【2】NPOだけでなく町内会・各種法人も実施主体

  • 従来の市民協働がNPO法人を中心とした制度と受け取られていた傾向があるため、自治会・町内会や企業も実施主体として明確に定めることにしました。このことにより、平成23年に制定した「横浜市地域の絆をはぐくみ、地域で支え合う社会の構築を促進する条例」の趣旨を具体化するものともなっています。

 【3】民間側からも提案できる制度

  • 「協働推進の基本指針」でも地域課題に限った提案制度が掲げられていましたが、今回は地域課題に限らず民間側から市民協働について提案できる制度を規定しました。このことにより、常に行政革新が図られることになります。

 【4】市の財政支援を明確化

  • 「市民公益活動」には市民活動推進基金から助成をするとともに、「市民協働事業」には公益上必要な負担を横浜市が負うことを明確にしました。その負担は必要最小限のものとすることも規定しました。

 【5】協働契約を締結

  • 行政と民間とが対等な立場に立って市民協働事業を実施するために、基本的事項を契約によって定めることを規定しました。

 【6】自主事業を保障

  • 民間が自立的に市民協働事業を行うためには、その財政的な基盤が必要になってきます。そのため、市民協働事業に支障とならない範囲で、自主事業を認めました。自主事業は、その民間の本来業務に限られるものではありません。

 【7】中間支援機関の育成

  • 市民協働がスムーズに展開されるためには、市民や町内会・企業や法人に的確なアドバイスをしてくれる中間支援機関の存在が必要です。その中間支援機関を市をはじめ、民間も一緒になって育成していくことを規定しました。

 【8】第三者機関で制度の充実

  • 市民協働を横浜でより円滑に展開していくために、有識者による第三者機関での意見提言を求めます。

2.参加と協働による地域自治の支援について学ぶ

協働について条例制定前から、市の基本政策の中で局を超えて明確な位置付け(課題と事業)がなされているのは当たり前ですが、すごいです。

1)現状と課題

  • 少子高齢化や人口減少の状況は市内各地で異なり、家族や地域のあり方が変わっていく中で、地域で発生する課題は多様化、複雑化しており、様々な担い手が協働で課題解決に取り組むことが必要となっています。
  • 地域では、既に自治会町内会、区・地区社会福祉協議会やNPOなど様々な団体が多様な活動を行っています。地域によっては、課題解決のための資金確保、人材育成、各種団体間の交流の不足といった課題が生じています。
  • 地域には、地区センター、コミュニティハウス、地域ケアプラザなど、市民がそれぞれの目的に応じて利用できる施設があり、個人利用を含めた利用者数は増加し、稼働率も上がっていますが、さらに有効活用が求められています
  • こうした施設が未整備の地域からは、相談・支援が受けられる施設や地域活動ができる場所を望む声があります。一方で、地域が協力して商店街の空き店舗や団地、マンション内の空き室等のスペースを活用している例もあります。

2)目標達成に向けた主な事業

  (1) 地域課題解決に向けた組織・取組への支援
地域が、課題解決に向けた組織づくりや自主的、継続的な取組を進められるよう、地域からの相談に適切に対応し、地域で活動する様々な団体や人々の連携の推進や活動に対する補助、地域人材の育成など、多様な地域支援を行います。

  (2) 地域運営補助金(仮称)の創設
地域が主体的・継続的に課題解決に取り組めるよう、団体間の連携を進め、地域活動を支援するための補助金制度を創設します。(市民局、想定事業量計画上の見込額1億円)

  (3) 地域で活動する団体間の連携・協働支援
各区の市民活動支援センター、地域ケアプラザ、福祉保健活動拠点などが、自治会町内会活動やテーマ型の活動など様々な団体間の連携・協働を支援するとともに、地域活動に参加できるきっかけづくり、地域の人材づくりなどに取り組んでいきます。

  (4) 地域との協働による取組の推進
地域が主体的・継続的に様々な課題解決に取り組むため、福祉保健活動、まちづくりや地域振興などの分野の垣根を越えて、地域の団体間の連携促進、地域人材の確保など多様な支援を行います。

  (5) 地域ニーズに沿った施設のあり方検討
区局間の枠を超えて、地域のニーズを反映した地域施設を柔軟な手法で整備・運営できるよう、地域施設のあり方を検討していきます。

■要チェック1

「横浜コード」で有名な横浜市でさえ、「市民と行政のための協働ハンドブック」を平成22年4月に発行していました。こちらは冊子もモノクロで簡素なつくりです(明らかに職員向け)。肝は、行政職員の理解からはじめたということです。市民向けにはもっと立派なカラーの入門冊子ができていました。

■要チェック2

地域運営補助金(区づくり推進費)

  • 上記のとおり、地域が主体的・継続的に課題解決に取り組めるよう、団体間の連携を進め、地域活動を支援するため創設されています。
    補助金額は、補助対象経費と認められる額の10分の9かつ、1団体あたり50万円を上限としています。
    岡山市の区づくり事業と比べ、随分使い勝手が良い補助金制度です。
  • 実際には、トライ・アンド・エラーの連続で、むしろエラーの方が多いとのことでしたが、市民は税金(補助金)を大切に(真剣に)使っていて、結果、成果を出すための試行錯誤がなされているとう理解で良いと思われます。

■要チェック3

横浜市には、市民活動等への支援制度(メニュー)がびっくりするほどたくさんあります。一覧をいただいて驚きました。上記の地域運営補助金だけではないのです。

■要チェック4

町内会

  • 町内会においても、親睦などの地域交流型から防災や近助などの課題解決型に活動が少しシフトせざるを得ないというのが今の社会情勢です。そこで、条例においても、義務(しなければならない)とせず、公益活動がすすむ方向へというスタンスをとっており、その方向で、補助金などが組み立てられています。
  • 任意団体への補助金というのは町内会へ出しているというよりも町内会の公益的な活動に対しての支出とされています。またその活動拠点は町内会館ですが、これも岡山市と比べると、補助率1/2、補助限度12000千円としっかりしています。(尚、横浜市では地区センター、コミュニティハウス、地域ケアプラザは概ね中学校区に配置されているとのことです。)
  • また、私が取り上げてきている「地元同意」という仕組みについては、市の事業を行う事業者に地元の同意を取って来させるなどという仕組みはなく、どこまでも行政(職員)が地元に丁寧に説明をし、理解を求めることに努めておられるとのことでした。(立派です)
岡山市において、公益的な活動を行う主体(様々な団体)に対して行政が果たすべき責任(負担)を明確にする必要を痛感しました。


担当: 竹之内則夫 2013年4月13日

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4月9日(火)公明党岡山市議団で発達支援センターを視察

 訪問したのは「岡山白ゆり発達支援センター」、市議団から則武、福吉、竹之内の3人でお邪魔いたしました。当所は2年前に岡山県から障害児福祉事業者として指定を受け、今年4月には岡山市から障害児通所支援事業者として指定を受けています。
利用者の多くはダウン症のお子さんと保護者で、近隣のみならず広域から通っておられるとのこと。所長の石原忍氏いわく、子どもさんの発達支援といっても、親を育てるのと子どもを育てるのとフィフティフィフティなんです。保護者ケアをしないと子どもは変わらないし、子どもが変わらない(成長しない)と親の信頼は得られないですから。

今の課題は何かと尋ねると、行政に関しては、診断をとるのに何か月もかかること。誰でも診断という訳にはいかないにしても、基準を担保しながら、もう少し「待ち」を減らす努力が必要、と。
またご自身のことについては、今の形態では十分な受け入れができない(施設面でも人数においても)ので、児童発達支援センターへの移行が必要になってきており、認可の課題に直面しているとのこと。
ちなみに、児童発達支援センターというのは、地域の障害のある児童を通所させて、日常生活における基本的動作の指導、自活に必要な知識や技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行う施設です。

福祉サービスを行う「福祉型」と、福祉サービスに併せて治療を行う「医療型」があります。
障害児に対する通所施設は、以前は障害種別ごとに分かれていましたが、複数の障害に対応できるよう平成24年度より一元化が行われました。ただし、これまで同様に障害の特性に応じたサービス提供も認められています。

対象者はというと、・身体に障害のある児童、知的障害のある児童または精神に障害のある児童(発達障害児を含む)
・医療型については、上肢、下肢または体幹機能に障害のある児童
・児童相談所、市町村保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童
ただし手帳の有無は問いません。
また、福祉型の児童発達支援センターというのは、
・日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練など(児童発達支援)
・授業の終了後又は休業日に、通所により、生活能力の向上のための必要な訓練、社会との交流の促進等を行う(放課後等デイサービス)
・保育所など児童が集団生活を営む施設等に通う障害児につき、その施設を訪問し、その施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援などを行う(保育所等訪問支援)
があります。

訪問している間、何組もの親子が独歩にむけて指導員にサポートを受けていました(赤ちゃん体操と呼ばれています。ダウン症のお子さんは歩行もしゃべりも一般的な平均よりも遅れがちです。それは体と脳の関係において、独歩できることとしゃべることがつながっているからだそうです。ダウン症に限らず歩けるようになったらしゃべれる(歩けるようにならないとしゃべれない)、そんな願い(目標)に向けたお母さんの優しくも真剣な表情に接し、福祉の充実を決意した視察となりました。


担当: 竹之内則夫 2013年4月9日

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災害時要援護者名簿の作成と共有・活用について 視察報告

【目 的】

 2013年6月に改正された災害対策基本法に基づき、この4月から要援護者の名簿づくりが市町村の義務となる。平常時には本人の同意を得て、災害時には同意がなくても名簿を避難支援者に提供できるようになった。自力での避難が難しい障害者や高齢者などの災害弱者は今後増えていくことが想定されるが、その一方で、避難を支援する人の確保が急務である。そのためには、平常時から民生委員などの関係者だけではなく、住民の助け合いの関係がなくては、災害時の対応はできない。

 これについて先進自治体である三条市や横浜市の状況説明を、さらには法制面からの説明を学術的な立場から聞き本市の施策に活かそうとするもの。

【概 要】

全体時間10:00~15:40
10:00~11:30 三条市における災害対策と「避難行動要支援者」及び「情報伝達要支援者」の名簿作成、外部提供について
講師:新潟・三条市行政課防災対策室主査/石塚衛(まもる)氏

三条市は金物の街コメリ、コロナの本社あり
平成16年7月13日経験のない大災害だった。21.9%しか避難勧告伝わらなかった。
広報はスピーカー積んだ車一台のみ。しかし、平成23年7.29前回の二倍の降雨量だったが被害は少なかった。
(平成16年の状況)
7.13 五十嵐川(いからしがわ)上流にダムが二つあって安心感もあった。
しかし、7.13 の13:15に堤防が決壊した。
一日の水害で1年分のゴミが出た。ハード整備は五年かけて整備。
(市のソフト事業)

  1. 水害対応マニュアルの作成
    公助はもちろん、自助、共助のマニュアルも整備した。
    共助、災害時要援護者台帳の整備をした。
    自助は防災情報の積極的収集をお願いした。どうしても受け身になっている。役所が何か行ってくるだろうと思っているところがある。しかし、防災は積極的に情報収集をお願いしている。役所ではない。
  2. 豪雨災害対応ガイドブックの作成
    今までのハザードマップには無かった垂直避難の考え方を導入した。
    「気づきマップ」:浸水特性への理解が必要 どうしても河川ごとに出してしまう。セットで配っても見てもらえない。まずは自分の住んでるところから見てどうなっているかわかるようなマップを作った。
    深く浸水する・浸水する等々
    「逃げどきマップ」
    兵庫県佐用町での災害では、逆に逃げたために流されてしまった。
    一律の避難情報による住民避難誘導の課題が浮き彫りになった。
    避難勧告一本では、全住民の適切な対応行動は誘導できない。「逃げどきマップ」の判定フローを作成した。
  3. 災害時要援護者対策の強化
    ポイント1: 7.13の翌年から取り組んだ。降雨前線による災害はまた来る。放置できない。
    ポイント2: 要援護者の支援を「情報伝達支援」「避難行動支援」の二つに分けて実施。
    ポイント3: 支援主体は、共助を主体として「自治会」「自主防災組織」「民生委員」
    「介護保険サービス事業者」が実施
    ポイント4: 名簿作成に当たっては、同意方式を採用

 

介護認定を受けていればという暫定基準では対象者が多く、パンクした。一人で30人への連絡など無理。

  • 基準を絞り込んだ。名簿搭載者は3696人から1281人に減少。対象者が自治会に一人か二人になった。
  • 消防団に手伝ってもらうこととした。
  • コミュニティーFMへの緊急割り込みを活用した。緊急告知FMラジオを配布した。現在7000台程度配布。
  • 基本はほぼ寝たきりとした。最低限ギリギリ。しかし、自治会によって余力があれば追加してもらうこととした。
  • 逆手上げ方式とした:本人の意思確認は名簿作成に不同意の方のみ申し出をもらう。 ・年4回の更新をしている。
 

 そんな中、平成23年の災害が起きた。前回の倍の降雨量。河川改修は効果があった。さらに上流側で決壊発生。土砂災害。しかし、被害については、住宅地は前回より少なかった。他市の住民が堤防を自動車で走行中、川に流されたのが1名。
 平成23年4月ガイドマップを配布したタイミングで7月の災害が発生。多くは、自宅にとどまった。「二階以上の建物は二階へ避難してください」と防災無線で呼びかけた。

(災害時要援護者について)

  • 援護者の対応にばらつきあり。
  • 共助の限界:人員確保、高齢化率の地域格差あり。
 

地域や民間を巻き込んだ避難所の見直しを行い、避難所検討委員会の設置をした。
緊急避難場所は公共施設でなくともよいだろう。ホテル、料亭、複合商業施設など、民間の施設を地域の自治会等が自ら選定。そこへステッカーを貼る。暮らしをささえる避難所としての取り組みも準備検討した。

(質問)消防団にも情報伝達を依頼したことに対する消防団の側の反応?そもそも災害現場に行くのが使命であり、そこまではできないということはないのか?
(答)消防団員のうち1~2名のみなので問題ない。そもそも水防活動が始まるより早いタイミングで情報伝達するので問題ない。消防団の側からも、そのような声はない。

(質問)一人一人の貼り付けは行政が把握しているのか?
(答)個人名は不要。誰が支援の主体か決めるところまでをお願いしている。国のプランでは個人個人のカルテを作ることとなっているが、それでは、市の仕事を自治会が代わってどんどんやることになるので問題あり。事細かく決めていても、支援者が旅行中とか不在のケースもある。とにかく支援の穴を開けないようにお願いしている。現状は、地域はまだら模様です。

(質問)危険行動の回避について、自分の安全と相反するところがある。地元地域の理解は?
(答)そもそも、市役所だけではできないことも説明。避難準備情報発令準備の水位は、あまり危ないことはない。その段階で避難支援していただくので、余裕がある段階。 平成23年に問題があったのは、内水に非常に弱くて、時間がなければ二階にあげるだけでもいいと。基本は危なくない時点で実施。

(質問)町内会加入について?
(答)ほぼ100%加入。まして要援護者が自治会に入っていないことはない。自治会がないところもない。

(質問)名簿掲載について、町内会の支援が必要な場合は、町内会判断でオッケーとなっているが増えすぎるとどうなるか?
(答)自治会サイドの判断なので、自治会ができる範囲で名簿化している。市からは、最初にかなり絞った。それに付け加えるにも自分たちの余力がないとできないので。

(質問)名簿不同意者のフォローは?
(答)不同意者名簿作成している。地域別に10個の地域に分ける。災害時に自治会長に安否確認だけお願いしている。できなければ市がやる。不同意者には、支援者が行かないので、自ら早めの情報収集、避難をお願いしている。

(質問)名簿登録を絞り込んだことへの不満は?
(答)ほとんどなかった。逆に苦情が来たのは、一生懸命やっている自主防災組織から。やっちゃいけないのかと。

(質問)逃げどきマップをどのようにして基準を決めたのか?
(答)群馬大学の片田教授にアドバイザーお願いした。作り方としては、元データは浸水状況マップ、流速、浸水時間など、細かい計算をして作った。

 

12:30~14:00 「横浜市震災対策条例」に基づく災害時要援護者の個人情報の提供について
横浜市健康福祉局福祉保健課福祉保健センター担当課長/黒岩清隆氏


 他都市からの視察の中に、どこが担当するのか役所の中の部所が決まらないということをよくお聞きする。幸いに、横浜市は大きな災害はない。
(災害時要援護者支援事業の目的)
日頃からの関係づくり、支え合いが重要。横浜市は370万人。18区ある港北区で34万人、西区は10万人で、三条市と同じ人口が狭いエリアにいる。
連合町内会が230くらい。その中に1万4千人程度の平均人口がある。要介護認定者は534人。団地によっては40%を超える高齢化率もある。
平成16年からスタートした要援護者リスト作成してきた。民生委員の訪問で把握していたが、 精度が低かった。金庫にしまったままで、平常時に共有ができない。
平成18年3月国のガイドラインできた。それを受けて19年に横浜市の手引きを作成した。モデル実施から拡大。
平成22年から、関係情報共有方式庁内で検討開始。
平成24年パブリックコメント
平成25年条例全部改正。
平成19年スタートの手あげ方式では10%20%しか把握できない。同意方式は郵便が30%40%帰ってきた。その併用方式とした。

(主管課について)
防災担当、福祉担当が考えられるが、防災担当、福祉担当は18区でも違う。

(取り組み方式)

平成25年4月1日現在の条例改正前は、同意方式19区、手上げ方式15区。

(新方式の概要)
横浜市では情報共有方式と呼ぶ。拒否の意思表示は見込みで1割と思う。他都市の例を見ても1割前後だろう。9割が同意するということだ。
手上げ方式で一割程度の把握。同意方式で三割から五割の捕捉。情報共有方式で9割の捕捉だ。さらに横浜市では平常時の名簿提供ができないかと検討開始。
・個人情報保護条例に例外規定を設けた。第10条(1)
・団体からの要望により精神障害者は除いた。
・災害対策基本法第二条の2に自主防災組織を謳う
・自主防災組織の結論として、具体的には規則で市長が認めるものとした。区長が認める。
・横浜市の特徴として、平素からの取り組みがある。
横浜市震災対策条例第12条で、「平素から地域の自主的な支え合いの取り組みを支援するものとする。」とある。

(個人情報保護について)
災害対策基本法の改正で、7つの情報が必要となった。それまでは必要最低限とし、4つの情報だった。
罰則規定は、検討の結果、設けないこととした。
災害対策基本法改正後の運用に関する通達で、善意に基づく無償の避難支援にかかる民間人については、過度な心理的負担を課し、共助の裾野が限定的とならないようにとうたわれている。

(今後の課題として)
1.個別支援計画の作成
頭を痛めている。取り組み事例集の配布
2.支援者の確保
3.事業者との連携
4.地域見守り事業と連携
5.その他

 我が国の保護法は、分権的な手法をとっている。国の持っている情報のみ対象としている。自治体はそれぞれ情報を整備している。外国では、国の法律は自治体にも適用される。我が国では、国が情報提供を言っても、自治体で決めなければならない。したがって、要援護者名簿は、個人情報保護法ではなくて、個人情報保護条例にもとづく。

本来的に個人情報は特定された目的で使うもの。しかし、目的外適用もあり得る。例外を書いている。本人の同意があればオッケー。いくら国が技術的助言しても、関係機関情報共有方式は条例か法律で決められなければならない。ガイドラインの限界だ。
全国の七割の自治体が個人情報保護条例に審議会の意見を聞くこととしている。関係機関共有方式を採用している自治体は36.4%
災害対策基本法の改正により、4月から支援者名簿が義務付けられた。
バックアップ機能が必要。庁舎の損壊の可能性有り
個人情報の管理は非常に重要。しかし、目的の範囲内なら秘密保持義務違反にならない。過度に気にする必要はない。
あくまで本来の目的との関係で、ある地域だけに避難勧告が出ている時に、無関係のところに出すことは認められない。
(避難行動要支援者名簿について)
要配慮者>避難行動要支援者だ。
(番号法について)
92条限定列挙の例外がある。社会保障と
・孤立ゼロプロジェクト
・箕面市ふれあい安心条例名簿

(質問)関係機関情報共有方式は8割か?10割ではないのか?
(答)福祉部局の情報を防災部局が利用すると100%だが、他の自治体が持っている情報あり。例えば、難病情報は県になる。
NHK受信料について、中野区で問題になった。被災者台帳作成。被災事項。

【所 感】
今回は、原点から見つめ直すことができた。そもそも、要援護者名簿がなくても地域が稼働できれば、それがベストであるということ。もう一つは、本市では、現在は希望者全員を名簿化しているが、かなりお元気な方は多い。逆に支援する側になることが間違いない方々まで登録している現状がある。三条市のように、支え手の側から見直して、支えられない人数まで登録することは止めて、ハードルを上げた形で名簿を作り直したことは、大変示唆に富んでいる。実際に支えられない実態に目をつむることはできないはずであり、この視点からも本市の取り組みは見直す必要があると思う。

いずれにしても、このような視点で、しっかりと検討したものを、地域をエンパワーメントする理念で、地域へしっかりと情報提供していくことが必要である。地域のことは地域でしかわからないという言葉が、完全に当てはまる課題なのだから。

 


 


担当: 田尻祐二 3月25日

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一般社団法人福岡コンベンションセンター 視察報告

<目的>

 岡山市は都市ビジョンとしてコンベンションシティを目指している。昨年、1500名から2000名を収容できるコンベンション施設の整備に組合施行の再開発で整備することを検討している。そこでこのたび先進地である福岡のコンベンションを視察した。

<概要>

福岡市は港、空港、新幹線と交通の便がよく、なおかつ東アジアを含む国際的なコンベンション誘致をしている。コンベンション施設では展示場と宿泊、食事、アフターコンベンションが揃っていないと誘致の条件にはならない。また。3000人を越えるコンベンションは福岡でもそんなに多くはないが、年間5件ほどある。その誘致ができるかできないかが信用・安心のコンベンションシティになるかどうかでもあると感じた。福岡市でも可動式の1000名固定、2000名は増設できる会場を見せていただいたが、素晴らしいものであった。本市でも現在の計画でよいのかどうか検討をする必要がある。


担当: 則武宣弘 平成25年1月31日

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福岡マラソンの概要ついて 視察報告

○内容

・検討経緯

 元々、福岡市内では、福岡国際マラソン、福岡シティマラソン(ハーフ・24回開催)の2大会が開催されており、市内でのフルマラソンの開催を目指し、平成23年6月、市議会議員有志による「開催を検討する職員有志の会」が立ち上がり、議会62名中54名が賛同し検討が始まった。同年12月には、市長宛にアジアが誇る福岡マラソンをつくる会より53,356名の署名が提出され、翌24年4月には、市民局スポーツ推進部に担当課が設置された。同年5月福岡国際マラソンとの連携についての検討会・WGが設置され、県警からは市内での2大会の開催は難しいとの話しが出た。8月には更に45,467名の署名が提出され、10月マラソンコース試走会が実施、福岡マラソン祭りも11月に開催され、周辺の機運は盛り上がっていった。この間、県警からの市内のみでの開催は難しいとのことから、周辺自治体との共同開催の探っていたところ、25年2月西隣りの糸島市に共同開催を提案、糸島市も定住化策を促進していたことから開催による効果が期待できるとして、4月糸島市との共同開催が決まった。因みに24年度までマラソン関連の予算は無く、25年度より4000万が予算化され、25年5月より4回の準備委員会の開催、10月からは実行員会事務局も設置され、実行員会も開催された。そして26年1月には、医療救護部会、競技運営部会が開催され、現在はコース周辺の住民・事業者等へ理解・協力を求めて戸別に説明を行っている。

○所見

 27年11月に開催予定とされる本市マラソン大会についてのこれまでの経緯と比較しながら説明を聞いた。福岡市も糸島市との共同開催であり、県と共同開催となる本市も行政間の連携について課題があるが、福岡市については、予算面・人材面についても福岡市がイニシアチブを執っており、スムーズに進められているように感じる。

 県警との協議(2大会開催への課題、交通問題、拘束時間、)に対しても積極的な働きかけを行っており、熟慮の結果、糸島市との共同開催によって打開し、コースも往復型ではなくワンウェイ型として開催することにしている。因みに往復型よりワンウェイ型の方が、予算面・人材面においても負担が大きい。2月末にはコース周辺の住民・事業者への説明も終わる予定だが100%の理解は難しいようだが、それでも進めていくとのこと。これは他のマラソン大会についても同様のものと思う。その他、参加対象やテロ対策、関連事業などについても現在検討中とのことだが、丁寧に進めている印象を受けた。予算についてはコース未定時ではあるが、約33,000万でみている。

 盛り上がる大会の要素を伺ったところ、①アクセスの良さ、②沿道の応援、③完走後のおもてなし、の3点を挙げられており、本市も配慮の必要を感じた。

  本市もいよいよ開催日とされる日が来年に迫っているが、市議会としても県議会との連携のもと、おかやま市民マラソンに対する態度を早めに出すべきであると感じる。


担当: 則武宣弘 平成25年1月31日

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